教えない授業で生徒の考える力を育てる

教員向け記事

こんにちは。福田泰裕です。

授業中、「アレも言わなくちゃ!」「まだアレも説明してない!」のように、教えなくてはならないことが次々と頭に思い浮かび、ついつい多く喋りすぎてしまっていませんか?
いま、一斉授業からアクティブラーニングへの移行が叫ばれています。

そういう時代なので、授業スタイルを思い切って変えてみました。
そうなった経緯と、私の考えを綴っていきます。

最後まで読んでいただけると嬉しいです。

目次

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一方的な授業で身に着くのは『記憶力』のみ

私は以前、「彼らの力を伸ばすために、たくさんの知識を与えてあげよう!」という思いから、授業中はずっと例題の解説に時間を費やしていました。
「問題演習は家でやればいい。授業中は解き方を解説する!」というスタンスで授業をしていたこともあります。

私は数学教師としてこれまでたくさんの問題を解いてきていたので、多くのテクニックを知っています。
それを「1つでも多く生徒に伝えたい!」という思いでした。

そこでふと、自分が高校生の頃を思い出してみました。
学校の授業で説明を聞いて何となく分かったような気がしても、大学入試の難しい問題たちを前に絶望し、問題を解きまくった記憶があります。
「こんなこと、授業で教わってないのに…!」という解法やテクニックが次々と出てきて、解きながら覚えていきました。

実際、大学入試レベルまでいくと、問題の種類は無限です。
教科書に載っている定理や公式を巧みに使いこなさなくてはいけません。

私のそれまでの授業は、教科書の問題を全員で解き、問題集から教科書より少し難しい問題取り上げて解説していました。
授業中の生徒たちは何となく分かったような雰囲気になるので、こちらも少し安心するのです。

そしてテスト週間。
生徒たちが続々と質問にやって来ます。

そこで生徒たちが揃えて口にするのが「この問題は教えてもらっていないので分かりません」という言葉でした。
私からすれば、『数学は自分で解きながら覚えていくもの』だと思っていました。
しかし、生徒たちにとって、『数学は先生から教わった通りに解くもの』になっているのではないかと思いました。

つまり、生徒たちは「先生から教わった問題は覚えているから解ける。教わっていない問題は知らないから解けない。」ということになっていたのです。
それは、きっと私が教えすぎていたことが原因なのだと考えました。

私からの一方的な授業で生徒たちが養っていたのは数学的な力ではなく、単なる記憶力だったのです。

これではマズイと思い、授業スタイルを変えてみることにしました。

教えない授業で考える力を養う

上のようなことを感じてから、あえて『教えない授業』を行うことにしました。

私が考えたのは、スマホでGoogleスライドを見ながら自分たちで学習を進めていくスタイルです。

解説は、定理や公式の成り立ちや要点のみ。
問題演習はすべてスライドを見ながら行い、教科書に載っているような簡単な例題から「自分で考えて解く」ことを習慣づけました。

すると、生徒たちは近くの人たちと「ああでもない」「こうでもない」と相談しながら問題を進めていくようになりました。
また、得意な生徒は席を立ち、苦手な生徒の横で教えてあげるようになりました。

私は演習が始まると、生徒の間を歩き回り、助けを求められたときのみ助言に入ります。間違いを見つけるとつい指摘したくなりますが、自分で気付けるようになることを願って、見守ります。

これまで

「教師の解き方を覚える」→「覚えた通りに解く」
(解けない人はダメ。教師の話をちゃんと聞け、と言われる。)

だった授業が、

「問題を考えて解く」→「分からなければ答えを見て考える
(解けないのは当たり前。答えを読んだり、相談したりして理解すれば良い。)

というようになり、授業中に考える機会が多くなりました。

1つの問題を解くのであれば、私が教壇に立って「この問題はこうやって解きます!」と言う方が早いでしょう。

しかし、大学入試問題の応用レベルは無限です。
自分で考えて解くこと、答えを読みながら理解していくこと、友人に相談することを積み重ねていくことで、最終的に入試問題に立ち向かう高校生たちにとって必要な「自分で考える力」が身に着くと思います。

実際に、この授業スタイルにしてからテスト週間に質問に来る生徒の数が減ったような気がします。
これまでは『数学は先生の言う通りに解くもの』という認識が、『数学は自分で考えたり、友人に聞いたりしながら解くもの』と変わっていったためだと思われます。

質問に来てくれないので少し寂しい気持ちもありますが、長い目で見ると、生徒たちだけで解決できる方が良いはずです。

まとめ

今回、授業を『スマホでGoogleスライドを見ながら自分たちで学習を進めていくスタイル』に変えてみたというお話でした。

それによって、

  • 生徒の考え方が「数学は教わるもの」から「数学は考えるもの」に変わった
  • 難しい問題に対して自分で考える習慣が身に着いた

という効果が実感できました。

生徒たちが考える力を養うことで、自ら進んで難しい問題にチャレンジしていくようになることを期待しています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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