こんにちは。福田泰裕です。
日本人は6歳になると小学校へ入学し、高校卒業までの12年間、もしくは大学卒業までの16年間、ひたすら勉強し続けます。
そこで誰もがぶつかる疑問が、「なぜ勉強するのか」です。
あなたもきっと、一度は考えたことがあるでしょう。
この記事では「なぜ勉強するのか」について、高校教師である筆者の考えを書かせていただきます。
最後まで読んでいただけると嬉しいです!
目次
「人はなぜ勉強するのか」という問題は、多くの生徒・学生たちにとっての疑問でしょう。
その理由はとても簡単。
まず、その結論を言います。
ズバリ、『面白いから』です。
それ以上でも、それ以下でもありません。
とても単純な理由なのです。
ゲームやスマホなら何時間だってできるのに、なぜ勉強は10分も続かないんだろう…
という悩みは、恐らく多くの生徒たちに共通する悩みだと思います。
ところで、ゲームやスマホって楽しいですよね。
その気になれば、何時間でも没頭できてしまいます。
ここでいう『没頭』とは、「時間を忘れてのめり込むこと」です。
ゲームを始めると、あっという間に1時間が過ぎている。
朝ご飯を食べ終わってスマホを触り始めたところ、気が付いたら昼ご飯の時間になっている。
誰もが一度は経験したことがあるでしょう。
このように「あっという間に時間が過ぎる状態」を、『没頭している』と言います。
このように、スマホやゲームには誰だって簡単に没頭できます。
その理由は単純で、スマホやゲームが『面白いから』です。
私たち人間は、『面白いこと、興味が湧くこと』に関してものすごい集中力を発揮し、時間が早く過ぎていくかのように感じることさえあるのです。
スマホやゲームは、とても面白いです。
とても面白いことならば、いくらでもできてしまいます。
翌日は学校があるのに、夜更かしをしてでもゲームをクリアしたい。
親から怒られているのに、友達とのLINEを続けたい。
布団の中に隠れてでも、SNSをチェックしたい。
このように『面白いこと』ならば、「やれ」と言われなくても、自分で時間をつくっていくらでも打ち込めてしまうのです。
…ということは、「勉強は面白い」ということに気が付けば、いくらでも、自ら進んで取り組むことができるようになるはずです。
つまり「勉強は面白い」ことに気づいてしまえば、もう勝ったようなものなのです。
そうは言っても、「勉強が面白い」と感じるのは簡単なことではありません。
特に中学校や高校では興味のない難しいことの勉強を強制され、勉強というものに嫌気がさしている人も多いでしょう。
確かに、その気持ちは分かります。
でもそれは、「勉強」=「学校の勉強」と考えているから起こるものなのです。
「勉強」という言葉は、「学校の勉強」だけを指しているのではありません。
もっと広い意味で捉えると、「勉強」とは「新しいことを知ること」なのです。
こう考えると、「勉強」という言葉に対する考え方が変わってきます。
人間は本来、新しいことを知るのが大好きな生き物です。
その証拠に、かつての大航海時代には命を懸けて新しい世界を見る旅に出ていました。
「死ぬかもしれない」という恐怖心よりも、「新しい世界を見てみたい」という好奇心の方が強かった証拠でしょう。
「学校の勉強が嫌い」という人でも、自分の興味のある分野なら新しいことを知るのは楽しいはずです。
アイドルが好きな人は、アイドルの情報を調べるのは楽しい。
野球が好きな人は、野球選手の情報を調べるのは楽しい。
このようなとき、私たちの脳内にはドーパミンと呼ばれる快楽物質が分泌されています。
それによって、「楽しい、心地よい」と感じるのです。
『新しいことを知るのは楽しい』というのは、人間なら誰もがもっているものなのです。
『なぜ勉強をするのか』という問いに対して、
「勉強すると、良い大学に行ける」
「勉強すると、モテる。」
「勉強すると、金持ちになれる。」
という、『メリット』を語る人が多くいます。
しかしこれらは『勉強した結果』として得られるものであって、『勉強する理由』ではありません。
「楽しい!面白い!」と感じながら勉強していった結果として、良い大学に行けたり、モテたり、金持ちになれたりするのです。
この順番を間違えてはいけません。
学校の勉強は、『順位』や『偏差値』などによって、よく他人と比較されます。
そのため、「勉強は周囲の人間に勝つためにやるもの」と考えている人もいるかもしれません。
しかし、それは大きな間違いです。
他人と比較しながら勉強してしまうと、友人が大学に合格したのに喜べずに嫉妬してしまったり、いくら勉強しても成績が伸びないことに対して「勉強しても無駄」と感じてしまったり、自分に対してイライラしてしまったりします。
これらはすべて、他人と比較しているから起こる事です。
「楽しい!面白い!」がベースにあれば、他人の成功や他人の成績なんてどうでもよくなるのです。
嫉妬したり、イライラしたりするのが時間の無駄であることが分かります。
ここまで説明したように、「新しいことを知ることは楽しい!」と考えながら勉強すれば、自然と勉強が捗るようになります。
大切なのは、「新しいことを知ることは楽しい」というマインドセットで勉強に取り組むことです。
「数学の公式なんて、覚えても人生の役に立たないのに…」
ということを言う人がいますが、そのような考え方では勉強が進みません。
「この数学の公式は、こうやってできているんだ!すごい!面白い!」
と考えながら勉強すれば、楽しく、自然に進めることができるのです。
勉強とは、やればやるほど絶望するものです。
本を読んだりテレビを見たりして、新しい情報に興味を持ったとき、新たな勉強が始まります。
そして、新しく飛び込んだ世界では、調べれば調べるほど知らない事、新しい知識で溢れかえっています。
そこで、勉強というのはどれだけ進めても終わらないことを知るのです。
つまり自分の人生を捧げることができるようなことに出会うことができたら、一生楽しむことができるのです!
「新しいことを知るのは楽しい!面白い!」ということに気づければ、学校の勉強だけでなく、何をするにしても「楽しい!」と感じることができるようになります。
「勉強は先生にやらされる、つまらないもの」という考え方の人は今すぐ捨てて、「新しいことを知るのは面白いこと」という考えで勉強していきましょう!
最後に、福澤諭吉が1872年に書いた『学問のすゝめ』にも勉強する理由が書かれているので紹介します。
『学問のすゝめ』といえば「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」の一文が超有名です。
しかし、この一文だけが超有名すぎて、それ以降の大切な部分はほぼ知られていません。
実は、『「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」と言われている。しかし』と、真逆のことを言っているのです!
「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」と言われている。
…しかし、この人間の世界を見渡してみると、賢い人も愚かな人もいる。貧しい人も、金持ちもいる。また、社会的地位の高い人も、低い人もいる。こうした雲泥の差と呼ぶべき違いはどうしてできるのだろうか。
その理由は非常にはっきりしている。…賢い人と愚かな人との違いは、学ぶか学ばないかによってできるものなのだ。また世の中には、難しい仕事もあるし、簡単な仕事もある。難しい仕事をする人を地位の重い人と言い、簡単な仕事をする人を地位の軽い人という。およそ心を働かせてする仕事は難しく、手足を使う力仕事は簡単である。…そのもともとを見ていくと、ただその人に学問の力があるかないかによって、そうした違いができただけであり、天が生まれつき定めた違いではない。
…しっかり学問をして物事をよく知っているものは、社会的地位が高く、豊かな人になり、学ばない人は貧乏で地位の低い人となる、ということだ。
現代語訳 学問のすすめ 著者 福澤諭吉 訳者 齊藤孝 ちくま新書
https://www.iwasaki-zaidan.org/wp-content/uploads/sites/3/2016/05/23pre_sp03_2.pdf
全国に小学校が設置され国民皆学ることとなる『学制』が頒布された1872年に、福澤諭吉が「学問の大切さ」を世に説いた『学問のすゝめ』です。
身分の差は生まれ持ったものではなく、学問の力の差によって起こる。
上に行きたければ、勉強しなさい。
…ということを言いたかったのはないでしょうか。
この考え方は、現代を生きる私たちも大切にしていきたいものです。
Twitterで多くの方から「そのスライドを授業で使いたい」というメッセージを頂いたので、公開します。
ZIPファイルで公開しているので、ダウンロードした後で展開して、使用してください。
利用・改変、授業などでの使用は自由に行って構いません……が、下のコメントやTwitterでメッセージを入れてもらえると、励みになります。
いかがだったでしょうか。
中学校、高校と進むにつれて学校でやる『勉強』は難しくなり、どうしても『やらされるもの』『嫌なもの』という負のイメージがついてしまいがちです。
しかしそれらは、
「テストの点が思うように取れない」
「目標の大学の偏差値に届かない」
「周りのクラスメイトの成績が気になる」
という、他人との比較によって感じるものなのです。
しかし、「国語で新しい文章を読む、英語で新しい表現を習う、数学で新しい公式を習う」という事柄を単体で見れば、どれも「新しいことを知る」ということなのです。
それに対して純粋に「面白い!楽しい!」と感じながら勉強を進めていけば良いだけのことです。
この感覚をつかむことができれば、一生楽しむことができるようになります。
他人と比較したり、勉強した成果ばかりを眺めたりせず、勉強を純粋に楽しみましょう!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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