こんにちは、福田泰裕です。
GIGAスクール構想の一環で、全生徒にタブレットが配られています。
それに伴って、教育界では授業の改革案が多く提示されています。
しかし私は、朝のSHRも改革できると考えています。
今回は、私が勤務校で実践している『タブレットを使って朝のSHRを改革する方法』をご紹介します。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
目次
『令和3年度 やまぐち教育フォーラム』で発表しました!
2022年(令和4年)2月7日にオンラインで開催された『令和3年度 やまぐち教育フォーラム』で、「ICT活用推進における実践発表」として、「SHRの効率化に向けた実践発表」を行いました。
その際、この『SHR改革』について、私の勤務する高校での取り組みとしてまとめ、動画にして発表しました。
その時の発表動画をYoutubeにアップロードしているので、ぜひご覧ください👇
朝のSHRの現状と課題
現在広く行われている朝のSHRの流れをご紹介します。
まず担任が教室に行き、その日の連絡事項を全員に向けて話します。
今日は通常授業です。
保健委員は、12:50に保健室に集合。
体育委員は、12:55に体育館に集合。
7限LHRは講演があるから、筆記用具をもって視聴覚教室へ集合です。
提出物は…課外の申し込みがある人は今日まで。
〇〇アンケートは、明日までに提出です。
次に、プリントなどの配布物を配ります。
提出物があれば、後ろから集めて回収します。
そして…
やばい、時間がない…!
キーンコーンカーンコーン…
さあ、5分後に始まる1限の授業に向けて教員も生徒もダッシュです。
1日がこんなに慌ただしく始まり、授業に集中できるのでしょうか?
「もっと良いSHRの方法があるはずだ!」と私は考えたのです。
現在のSHRの課題:生徒は完全に受け身
私がSHRでもっともマズイと思うのは、生徒が完全に受け身であることです。
担任が話す伝達事項を聞き、プリントが配られ、提出物を集められる。
生徒は担任の指示をただ聞くだけです。
また、集合場所に行かない生徒がたまにいます。
その理由を聞くと、
聞いていませんでした…
と言うならまだ良いのですが、
先生、ちゃんと言ってくれましたか?
ということを言ってくる生徒もいます。
大学に入れば、自分で掲示板を見て情報を得るのが当たり前です。
「見ていませんでした」は通用しません。
高校のSHRも、もっと生徒主体になればいいのに…と考えていました。
『タブレットでSHR改革』EXCELファイルでできること
国のGIGAスクール構想により、生徒と教員全員がタブレットを持つようになりました。
そこで、私はSHR改革を思いつきました。
PDFファイルをClassroomに配信すれば、生徒主体のSHRになるのではないか?
そこで、試行錯誤を重ねてEXCELファイルを完成させました。
Classroomのタイムライン👇
PDFを開くと…👇
このPDFを生徒が自分で読んで連絡事項を確認し、必要ならメモを取る。
配布物はGoogleドライブに保存されているので紛失することもない。
生徒の主体性を育て、担任の負担を軽減することができるのではないでしょうか?
🌟『タブレットでSHR改革』EXCELファイル配布
そのEXCELファイルは、こちらで配布しています👇
元はEXCELファイルなので、「ファイル」→「ダウンロード」→「Microsoft Excel (.xlsm)」とクリックしてダウンロードしてください。
『タブレットでSHR改革』EXCELファイルの使い方
それでは、この『タブレットでSHR改革』EXCELファイルの使い方をご紹介します。
『タブレットでSHR改革』の使い方①:日付を入力する(年に1回)
まず年度のはじめに、「入力(全体)」タブの4月1日の西暦を設定します👇
(4月2日以降と、他のシートの日付は自動で設定されるようになっています。)
『タブレットでSHR改革』の使い方②:伝達事項を入力する
このEXCELファイルには、『入力用のシート(全体・1年・2年・3年)』と『確認用のシート (全体・1年・2年・3年) 』があります。
この『入力用のシート』に、伝達事項を入力します👇
※先の予定でも、事前に入力することが可能です。
※ セルがURLのみの場合、ハイパーリンクに変換されます。
プリントはPDFファイルに変換して、Googleドライブなどにアップロードして「共有」にしてURLをコピペすると良いです。
このように、「全体」と「学年」の入力用シートに伝達事項を入力しておきます。
『タブレットでSHR改革』の使い方③:職員朝礼を行う
職員朝礼では、『確認用シート(教員)』を利用します。
『確認用シート(教員)』には、『入力用シート』に入力された教員への伝達事項と、生徒全体への伝達事項が表示されます。
(左上の日付を変更すれば、その日の伝達事項が表示されます👇)
『タブレットでSHR改革』の使い方④:学年連絡を行う
全体の連絡が終わると『確認用シート(学年)』を利用して、各学年の担任団への連絡へ移ります。
『確認用シート(学年)』 には、『入力シート(全体)』に入力された生徒への伝達事項と、『入力用シート(学年)』に入力された事項が表示されます。
『タブレットでSHR改革』の使い方⑤:PDFを作成する
訂正があれば『入力用シート』を手直しして、『確認用シート』を完成させます。
完成した『確認用シート』をClassroomへ配信するために、PDFファイルへ変換します。
「ファイル」→「名前を付けて保存」→「PDF」でもいいのですが、毎日行う作業なのでVBAマクロを組んでボタンにしました👇
このボタンをクリックすると、デスクトップにPDFファイルが作成されます。
(ファイル名は「[年月日]連絡[学年].pdf」となっていて、そのまま配信できる形になっています👇)
『タブレットでSHR改革』の使い方⑥:Classroomへ配信する
最後に、作成したPDFファイルをGoogle Classroomへ配信します。
Classroomのストリームを開き、アップロードして投稿します。
複数のクラスへ同時に配信できるので、学年主任がまとめて配信すると手間が省けて良いでしょう👇
『タブレットでSHR改革』の使い方⑦:SHRでタブレットを開く
教室へ行き、始業のチャイムの後で生徒にタブレットを開かせ、Classroomのストリームから当日の連絡事項を確認させます👇
(URLはハイパーリンクになっているので、クリックすればリンク先に移動できます。)
担任は、全員が読み終わるのを待ちます。
これで、SHRの連絡は終わりです。
残り時間で、担任はクラスとの交流を図ってください。
『タブレットでSHR改革』を使うメリット
私の勤務校では全教員と全生徒が『SHR改革EXCELファイル』を利用して朝の伝達を行っています。
これによって様々なメリットがあるので、ご紹介します。
『タブレットでSHR改革』のメリット①:SHRが生徒主体になる
冒頭で説明した通り、通常のSHRでは生徒は完全に受け身です。
しかしこの『タブレットでSHR改革』EXCELファイルを利用すると、生徒たちは主体的に情報を受け取ることになります。
また、『必要な情報』と『不要な情報』を取捨選択したり、集合時間を付箋にメモしたりしながらタブレットを見るので、朝から脳が活性化します。
『タブレットでSHR改革』のメリット②:言ったor言ってない論争が起こらない
担任が口頭で伝達事項を話すと、どうしても情報が抜けてしまうことがあります。
集合時間に生徒が集まらなかったとき、
先生、朝言ってくれませんでしたよ。
と言ってくる生徒がいます。
しかし、本当に正しく連絡したのかを確かめる手段はありません。
担任も朝はバタバタと忙しいので、
言ったような気がするけど、正直自身がない…
となることもあります。
しかしこの『タブレットでSHR改革』を利用すれば、このような “くだらない論争” は一切起こりません。
PDFファイルを開けばすべてが書いてあるので、
ここに書いてあるよ?
大事なことはメモしないとね。
と、自信満々に指導できます!
『タブレットでSHR改革』のメリット③:時間のゆとりができる
職員朝礼や朝のSHRは、大抵の場合が時間に追われがちです。
担当者が挙手して発言し、担任が紙にメモする…ということを繰り返していては、クラスの始業時間に間に合いません。
『タブレットでSHR改革』を利用すれば必要事項はすべて書かれているので、担任がメモする必要はありません。
職員朝礼をスムーズに進めることができます。
また、教室に入ってからも効果は絶大です。
バタバタと慌ただしい状況で生徒たちに連絡事項を話しても、言い忘れたり、聞きそびれたりしてしまいます。
しかし『タブレットでSHR改革』を利用すると、生徒が自分でPDFファイルを読むことになるので、かなり時間のゆとりができます。
担任がクラスへの熱い想いを語っても良いし、1限授業の準備に時間を使っても良いでしょう。
『タブレットでSHR改革』のメリット④:事前に予定を入力できる
『タブレットでSHR改革』はEXCELファイルで、事前に予定を入力できるようになっています。
例えば毎週行われる英単語テストや漢字テスト、年間計画で決まっている予定など、事前に入力しておけば安心です。
『タブレットでSHR改革』を使う際の注意点
『タブレットでSHR改革』を使うと朝のSHRに余裕ができてとても便利なのですが、使う際の注意点を紹介しておきます。
『タブレットでSHR改革』の注意点①:入力は前日までに済ませておく
朝の職員朝礼をスムーズに進めるためには、全教員の協力が絶対に必要です。
朝の伝達事項を前日までによく考え、前日のうちに『入力用シート』に入力しておくことが重要です。
当日の朝の職員朝礼で突然立ち上がって、
生徒会執行部は12:45に生徒会室に集まるよう、連絡お願いします!
のような発言するような人がいる限り、SHR改革は成功しません。
こうなると、どうしても時間が押してしまいます。
全員で協力して、連絡事項は前日までに入力することを徹底しましょう。
『タブレットでSHR改革』の注意点②:担任はクラスで伝達事項を読み上げない
この『タブレットでSHR改革』を利用する目的は、生徒の主体性と責任感を育てることにあります。
ちゃんと読んでいるかな…?
と担任が不安になって、伝達事項を読み上げてしまっては全くの無意味です。
(むしろ各自がタブレットを開いて読む分だけ、時間の無駄です。)
最初、担任は不安になりますが、生徒たちが成長することを信じて読み上げないようにしましょう。
生徒たちの習慣になれば、自分からタブレットを開いて確認するようになります。
『タブレットでSHR改革』の注意点③:生徒たちに “自己責任” であることをハッキリ示す
朝のSHRの連絡事項は「担任から伝えられるもの」という考えが当たり前です。
しかしその考えが残っている限り、生徒たちが自律することはできません。
連絡事項をちゃんと読んで、必要なことはメモしておきましょう。
「読んでいませんでした」は通用しません。
集合に遅れたり、提出物に気づかなくても、それはすべて自己責任です。
と、生徒たちにハッキリと言っておきます。
これによって、生徒たちは責任をもって連絡事項のPDFファイルを読むようになります。
まとめ:SHRはPDFファイルを使って効率的&自主的に
いかがでしたでしょうか。
私の勤務校では、このSHRをPDFファイルで行う方法に変えてから、職員朝礼からSHRまでの流れがとてもスムーズになりました。
委員会の集合などの連絡で担任が責任を追及されることもなく、担任の精神的な負担が大きく減りました。
生徒たちも「連絡が聞こえなかった」という事もなくなり、さらに『忘れていたら自己責任』ということで主体的に連絡事項を読むようになりました。
「SHRは担任が連絡を行うもの」という常識を捨てたことで、教員も生徒もSHRの際に余裕が生まれたのです!
ぜひ、あなたの勤務校でも実践してみてください!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
質問やご意見、ご感想などがあればコメント欄にお願いします👇
コメント
こんにちは。梶ヶ谷と申します。
神奈川県の公立学校で教員として働いています。
とても勉強になる記事だなと思って拝見いたしました。
私の学校でもこのExcelシートでの連絡の仕方を導入したいなと思いました。
本校の現状と導入の形についてご相談をさせていただいてもよろしいでしょうか。
【現状】
現在、本校ではteamsの打ち合わせ掲示板を使って朝の打ち合わせを行っています。
上段が職員向け、下段が生徒向け。という風な仕様です。しかし、この打ち合わせ掲示板が直接生徒の端末に送信されるということはなく、この掲示板を見て各担任がメモを取ってSHRで口頭で連絡するという形をとっています。(とても非効率。。)
【導入の形】
導入の形としては現行のteamsの掲示板に福田先生のExcelを添付する
【質問】
①この形で導入する際の問題点
②福田先生は導入の提案をどちらの主体に提案したか。
以上2点です。お忙しいと思いますが、ご回答をよろしくお願いします。
PS.ツイッターいつも拝見して、勉強させていただいています^^
コメントありがとうございます。(お返事が遅くなりました…)
①Teamsに連絡を入力しているなら、EXCELを作成するのは二度手間になりそうですね
最初からEXCELを利用すればいいのでは…と思います。
②私の勤務校では、『黒板と紙』だったものを一気にこの形にしたので、中途半端な状態はありませんでした。
このSHR改革の売りは、「職員朝礼の効率化」と「SHRで生徒が自分でタブレットの画面を見て確認する」という2点です。
TeamsとEXECLの併用だと、職員朝礼は二度手間、SHRは従来通りなので、あまり効果がないように感じます。
思い切って、「SHR改革のEXCELのみ」を提案してみてはどうでしょう?
最初は戸惑いもありますが、慣れれば一緒です。
SHRが自動化できると、生徒も教員も本当に楽になりますよ!