こんにちは。福田泰裕です。
この記事では、高等学校で履修する『情報Ⅰ』第1章「情報社会の問題解決」より、「(6) 個人情報の保護と管理」について解説していきます。
最後まで読んでいただけると、嬉しいです!
目次
この記事の内容は、私がYoutubeに公開している『情報Ⅰ授業動画①-(6)』を文字起こししたものです。
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個人情報とは『生存する個人に関する情報』で、氏名、住所、生年月日、性別、電話番号、学歴、職業などによって、特定の個人を識別できる情報や、他の情報と組み合わせることで個人を識別できる情報のことです。
このうち、氏名、住所、生年月日、性別は、住民票に記載されるなど、本人確認の際によく用いられる重要な個人情報です。
この4つの個人情報を『基本四情報』と呼びます。
また、パスポートや運転免許証の番号、マイナンバーなど、番号、記号、符号で個人を識別できる情報を『個人識別符号』といいます。
更に、人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴など、流出すると不当な差別や偏見、不利益が生じる可能性のある情報を『要配慮個人情報』といいます。
私たちが安全に過ごすためには、これらの個人情報を保護しなければなりません。
そのため、平成15年に個人情報保護法が成立・施行しました。
個人情報の不正利用や、不適切な取り扱いを防ぐため、個人情報を取り扱う事業者を対象に、個人情報の取り扱い方についての義務を課す法律です。
違反者には刑事罰が科せられます。
成立当時は5000件以上の個人情報を扱う事業者が対象でした。
しかし平成27年の改正で、扱う個人情報の件数、会社の大小、営利、非営利など関係なく、すべての事業者が対象となりました。
つまり大企業や中小企業だけでなく、学校やPTA、町内会などの団体にも、個人情報保護法が適用される、ということです。
そして、令和2年の改正で刑事罰が厳罰化されました。
個人情報保護委員会からの命令への違反、個人情報データベース等の不正提供、個人情報保護委員会への虚偽報告等に対して、罰金の金額が引き上げられました。
この個人情報保護法は、3年ごとに見直し、改正するという方針が取られています。
今後どのようになっていくのか、注目ですね。
このように、個人情報は、個人情報保護法によって、取り扱い方が定められています。
しかし、個人情報は「何があっても守られる」と思っていませんか?
実はこの個人情報の保護にも、例外があります。
例外に該当する場合は、本人の同意を得ないで第三者へ提供できるのです。
その例外を見ていきましょう。
1つ目は「法令に基づく場合」です。
具体的には、警察・検察・弁護士・地方公共団体・統計調査員・税務署などから法令に基づく要請があった場合です。
2つ目は「人の生命、身体、財産の保護に必要な場合」です。
具体的には、大規模災害や事故などの緊急時に患者の家族などから、医療機関に対して患者に関する情報提供の依頼があった場合、製品に重大な欠陥があるような緊急時に、メーカーから家電販売店に対して顧客情報の提供依頼があった場合です。
3つ目は「公衆衛生、児童の健全育成に特に必要な場合」です。
具体的には、児童虐待のおそれのある家庭を、児童相談所・警察・学校・病院などが共有する場合です。
4つ目は、国等に協力する場合です。
具体的には、税務署等から、顧客情報の提供依頼があった場合です。
この4つの項目に該当する場合は、本人の同意を得なくても、個人情報を第三者に提供できます。
本人や他人の命や安全を守るためであれば、第三者へ提供できるようになっているのです。
個人情報はどんなときでも守られる、というわけではないので、少し意外ですね。
次は、プライバシーについて解説していきます。
プライバシーとは、他人に知られたくない、個人の私生活上の自由です。
例えば、友人との会話の内容、体重、テストの点数、鞄の中身、自分の部屋の中、などが、プライバシーです。
「個人を特定できる情報」が『個人情報』であるのに対して、「知られたくない、脅かされたくない私生活の自由」が『プライバシー』です。
このプライバシーは、法律によって明確に定められているわけではありません。
日本国憲法第13条「幸福追求権」を根拠に保護されています。
判例で認められているプライバシーの権利で、重要な2つの権利を紹介します。
1つ目は肖像権です。
肖像とは顔写真のことです。
肖像権とは、他人から無断で写真を撮られたり、撮られた写真が無断で公表されたり、利用されたりすることがないように主張できる権利です。
2つ目はパブリシティ権です。
これは、有名人に与えられる権利です。
有名人は社会への影響力があるため、その氏名や肖像などに生じる経済的な価値を、本人が独占できる権利です。
ある企業が勝手に、有名人の氏名や写真を使って、広告やポスターを作る行為は禁止されています。
私たちは個人情報を提供するとき、その相手が個人情報を正しく管理しているのか不安になります。
そこで、個人情報を適切に扱っている事業者には『プライバシーマーク』というものを与えるようになりました。
プライバシーマークが与えられている事業者であれば、私たちは安心して個人情報を提供できる、ということです。
しかし、私たちの個人情報は、漏洩してしまうことがあります。
個人情報が漏洩する原因を、3つ紹介します。
1つ目はフィッシング詐欺です。
本物に似せた偽のWEBサイトに誘導して、ユーザIDとパスワードを入力させ、不正に取得する詐欺のことです。
このように、一見すると本物と見分けのつかない偽のメールが届き、クリックすると偽のログイン画面が開きます。
ログインするとクレジットカードの番号や、セキュリティコードを入力することになります。
ここで入力した内容は、すべて送信され、盗まれてしまいます。
フィッシング詐欺を防ぐためには、このような怪しいメールからではなく、正規のアプリや、正規のWebサイトから確認することが大切です。
2つ目はキーロガーです。
キーロガーとはキーボードで入力する文字を記録し、送信するソフトウェアや、ハードウェアのことです。
キーボードの入力履歴から、氏名や住所、ユーザIDやパスワードを盗み出します。
3つ目はスパイウェアです。
利用者のコンピュータ内のメールアドレス、データなどを収集し、送信するソフトウェアです。
他のソフトウェアをインストールするときや、メールの添付ファイルを開くときなどに、一緒にインストールされます。
怪しいWEBサイトや、怪しいメールの添付ファイルを開くのは危険なので、注意しましょう。
次は、自分の個人情報をコントロールする方法です。
例えば、あるWebサイトにメールアドレスを登録したら、メールマガジンが送られてくることがあります。
このとき、受信者へ確認せず、企業が勝手に送信してくるメールがあります。
この場合、受信者は受信を拒否するまで、メールマガジンが届き続けます。
このように、利用の中止を伝えるまでサービスを提供する方式をオプトアウトといいます。
日本では迷惑メール防止法が2008年に改正され、オプトアウト方式のメールマガジンは禁止されています。
それに対して、受信者が利用を許可すること、または、事業者が受信者に許可を取ることをオプトインといいます。
私たちがWebサイトを見ていると、検索履歴などからオススメの商品の広告が表示されることがあります。
インターネットの世界では、私たちは常に情報を提供しているのです。
それによって有益な情報を得ることができますが、ちゃんと設定すれば、閲覧履歴・購買履歴・検索履歴などの情報の収集を拒否することができ、これをDNTといいます。
Google Chromeの場合「設定」から「プライバシーとセキュリティ」を開き「Cookieと他のサイトのデータ」をクリックします。
その中の「閲覧トラフィックと一緒にトラッキング拒否リクエストを送信する」という項目をONにすると、収集を拒否できます。
サービスを利用するのか、中止するのか、意思をはっきり示すことが重要です。
ただしこのDNTには、強制力はありません。
あくまでも要求に過ぎず、収集をやめるかは事業者の判断に委ねられます。
次は忘れられる権利です。
インターネット上に一度掲載された個人情報、プライバシーは二度と消えることはありません。
例えば、過去の逮捕歴、裸の写真、自分の名前が載ったニュース記事、税の滞納歴など、一度でもインターネットに名前が掲載されれば永久に残り続けます。
名前で検索すれば、いつでも見返すことができるのです。
このようなインターネット上の個人情報を、個人の求めに応じて削除する義務をサービス提供者に課すことを忘れられる権利といいます。
しかし、表現の自由、知る権利などが重視され、日本ではまだ義務化されていません。
【『情報Ⅰ』解説動画】1-(1) 情報社会と情報
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