こんにちは。福田泰裕です。
この記事では、高等学校で履修する『情報Ⅰ』第1章「情報社会の問題解決」より、「(3)知的財産権① 産業財産権」について解説していきます。
最後まで読んでいただけると、嬉しいです!
目次
『情報Ⅰ』解説動画 (Youtube)
この記事の内容は、私がYoutubeに公開している『情報Ⅰ授業動画①-(3)』を文字起こししたものです。
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【情報Ⅰ解説】1-(3)知的財産権① 産業財産権
【情報Ⅰ解説動画1-(3)①】知的財産
まず、『知的財産』という言葉を知っているでしょうか。
知的財産とは、知的活動によって創作された著作物、発明、商標など、財産的価値のあるものです。
例えば、小説、漫画、音楽、映画などの著作物、発明品、発案、ロゴ、新種の植物、営業秘密、などが知的財産に含まれます。
そして、この知的財産は、将来お金に変わる可能性があります。
その知的財産を、他人に勝手に使われてしまうと、製作者の利益が奪われてしまいます。
【情報Ⅰ解説動画1-(3)②】知的財産権
そこで、それらの知的財産から生まれる利益を守るためにあるのが知的財産権です。
知的財産権とは、知的財産を一定期間、独占して利用できる権利のことをいいます。
そして、この知的財産権は、代表的なものが2つあります。
1つ目は、産業の発展に寄与する産業財産権。
2つ目は、文化の発展に寄与する著作権です。
そのほかにも、回路配置利用権、育成者権などの権利がありますが、ここでは触れません。
このスライドでは、産業財産権について詳しく解説していきます。
【情報Ⅰ解説動画1-(3)③】産業財産権
産業財産権とは、新しい技術、新しいデザイン、新しいネーミングなどについて一定期間の独占権を与え、模倣防止のために保護し、研究開発への報酬を付与したり、取引上の信用を維持したりすることで、産業の発展を図るための権利です。
特許庁が所管しており、特許庁に届け出て認められると権利が発生する方式主義を採用しています。
また、この産業財産権は、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、の4つに分けられます。
【情報Ⅰ解説動画1-(3)④】特許権
まず、特許権です。
特許とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち、高度のものをいいます。
「自然法則を利用した技術的思想の高度のもの」とは、簡単に言うと『発明品』のことです。
保護期間は出願から20年です。
特許権の例を示します。
パイロットが販売する、消せるボールペン、フリクションボールを知っていますか?
ボールペンなのに、こすると消えるという不思議なインクを使っています。
2007年に発売され、1年間で4000万本、10年間で20億本以上を売り上げた大ヒット商品です。
熱変色性筆記具として特許登録されているため、パイロットが独占して販売することができます。
もう1つ、この特許権を語るうえで、外せないものがあります。
青色発光ダイオード、青色LEDに関する特許です。
当時、日亜化学工業に務めていた中村修二さんは、1993年に青色LEDを発明しました。
しかし、この青色LEDの特許は、法律によって、中村さんの勤務していた日亜化学工業のものとなりました。
そして、中村さんは日亜化学工業に対して裁判を起こし、最終的には日亜化学工業が約8億4000万円の和解金を支払うことで終結しました。
そのとき争った特許は、現在は放棄されています。
中村さんはその後、2005年にアメリカ国籍を取得し、2014年に赤﨑勇さん・天野浩さんと共に3人でノーベル物理学賞を受賞しました。
このように、特許を争って裁判になるケースもあるのです。
【情報Ⅰ解説動画1-(3)⑤】実用新案権
次は、実用新案権です。
実用新案とは、自然法則を利用した技術的思想の創作であって、物品の形状、構造、組み合わせにかかるものです。
保護期間は、出願から10年です。
特許も、実用新案も、どちらも技術的思想の創作ですが、高度な発明が特許で、物品の形状、構造、組み合わせが実用新案です。
実用新案の例を見ていきましょう。
使い終わったあと、折りたためるティッシュ箱は、王子ティッシュ、現在のネピアの実用新案です。
先端がくるくる回ることで、力を入れずに床を簡単に掃除できるクイックルワイパーは、花王の実用新案です。
このように、高度な発明品ではなく、形状、構造に関するアイデアを、実用新案、といいます。
また、シャンプーとリンスのボトルは、目をつむっても見分けられることを知っていますか?
実は、シャンプーボトルの側面には、ギザギザの突起があります。
このギザギザは花王の実用新案権ですが、花王は実用新案権の申請を取り下げ、このアイデアを業界全体へ普及させました。
素晴らしい心遣いですね。
【情報Ⅰ解説動画1-(3)⑥】意匠権
次は、意匠権です。
意匠とは、物品、または物品の部分の形状、模様、色彩など、ものの外観としてのデザインです。
保護期間は、出願から25年です。
この意匠権は、実用新案のような発案、アイデアではなく、単純に外観、デザインを保護するものです。
例えば、ユニチャームが発売する超立体マスクは、独特な形をしています。
他の企業は、これと全く同じ形のマスクを販売することはできません。
そして、この意匠権の登録には、全体を登録する全体意匠と、
商品全体ではなく、特徴的な部分のみを登録する部分意匠という登録の方法があります。
部分意匠の点線の部分は、あっても無くても構わない部分、ということです。
iPhoneの意匠登録を例として示していますが、全体意匠に加えて、部分意匠も登録されています。
これは、全体意匠のみだと、上部のスピーカーの数や、下部のボタンの形を少し変えただけで別の物となってしまいます。
これを防ぐために、特徴的な部分を部分意匠登録しておきます。
この部分意匠登録があれば、スピーカーの数やボタンの形は関係なく、全体の輪郭が同じものは模倣品としてアウトにすることができるのです。
このように、iPhoneの模倣品を防ぐために、アップル社は多くの部分意匠登録をしています。
【情報Ⅰ解説動画1-(3)⑦】商標権
次は、商標権です。
商標とは、商品やサービスについて、提供元と他者を識別するための文字・図形・記号・形状・色彩・音・ならびにそれらの組み合わせのことです。
簡単に言うと、ブランド、メーカーのロゴ、デザインのことです。
保護期間は、登録から10年で、更新することができます。
例えば、ルイヴィトンの場合、ロゴ、デザインを、少しずつ変えながら組み合わせて商標登録をして、他社から盗まれないようにしています。
また、2017年に、初めて色彩のみでの商標登録が認められました。
セブンイレブンと、トンボ鉛筆のMONO消しゴムの色彩です。
どちらも長年に渡って使われていて、色の組み合わせのみで商品を判断できることが登録のきっかけとなりました。
他社は、この色の組み合わせで商品を作ることができません。
【情報Ⅰ解説動画1-(3)⑧】産業財産権は、『特許情報プラットフォーム』で閲覧可能!
産業財産権は、個人や企業が自分たちの利益を守るための大切な権利です。
この産業財産権は、特許情報プラットフォーム、というWebサイトで見ることができます。
概要欄にURLを貼っているので、ぜひ見てみてください👇
【 情報Ⅰ解説動画1-(3)⑨】関連サイト・確認問題・授業プリント
情報Ⅰ解説動画一覧
【『情報Ⅰ』解説動画】1-(1) 情報社会と情報
【『情報Ⅰ』解説動画】1-(2) 情報モラルと個人に及ぼす影響
【『情報Ⅰ』解説動画】1-(3) 知的財産権① 産業財産権
【『情報Ⅰ』解説動画】1-(4) 知的財産権② 著作権
【『情報Ⅰ』解説動画】1-(5) 知的財産権③ 著作権の例外規定・CCライセンス
【『情報Ⅰ』解説動画】1-(6)個人情報の保護と管理
【『情報Ⅰ』解説動画】1-(7)新しい情報システム
【『情報Ⅰ』解説動画】1-(8)問題解決の手順
【『情報Ⅰ』解説動画】2-(1)メディアの発達
【『情報Ⅰ』解説動画】2-(2)コミュニケーションの形態
【『情報Ⅰ』解説動画】2-(3)情報デザイン
【『情報Ⅰ』解説動画】2-(4)アナログとデジタル
【『情報Ⅰ』解説動画】2-(5)2進数と10進数の基数変換(整数)
【『情報Ⅰ』解説動画】2-(6)2進数と16進数の基数変換
【『情報Ⅰ』解説動画】2-(7)2進数と10進数の基数変換(小数)
情報Ⅰ解説動画の使い方
いかがだったでしょうか。
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