こんにちは。福田泰裕です。
私は高校教師として数学・情報を教えており、他にもクラス担任やICT担当、その他の雑務などの業務を行っていますが、毎日定時退勤をしています。
この記事では、定時退勤するために実際に私が行っていること・注意していることについてまとめていきます。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
目次
定時退勤を続けるために大切なことは、法的根拠のある意志を強く持ち、「絶対に定時に帰る!」と誓い、それ最優先で仕事を行うことです。
そのためには、まず法律を知ることが大事です。
教師の働き方に関する法律については、こちらの記事でまとめています👇
これらの法律について知ると、法的根拠をもって「定時に帰る!」と言うことができるようになります。
法律について知ったら、メンタル面を整えましょう👇
さて、ここまでくれば「定時に帰りたい!」ではなく、「定時に帰るのが当たり前なんだ!」と思えるようになったと思います。
職員室から帰ろうとしたとき、誰かに呼び止められても「定時なので帰ります!」と言えるようになりましょう。
それでは、私が実際に定時退勤のために行っていることを具体的に紹介していきます👇
私たち教師にとって最も重要な仕事は『授業』です。
この授業、そのための授業準備を省略することは許されません。
良い授業をするためにはそれなりに準備時間が必要です。
板書計画、発問の内容、時間配分……これらを考えていると、どんどん時間が過ぎてしまいます。
そこで大切なことは、授業準備はデータを残して蓄積していくことです。
プリントやスライドなどの教材を作成して残しておけば翌年以降も再利用できるので、準備時間が大幅に短縮できます。
毎回の授業を一から作っているうちは、いつまでも時間に追われる日々を過ごすことになります。
授業というのはどれだけ準備しても、
予想していた反応と違ったなあ…
もっと発問の方法を変えるべきだったか…?
と、こちらの思い通りに進まないものです。
このような反省が出たとしても、残念ながら数日経てば忘れてしまいます。
翌年に同じ授業をすることになったとき、やはり同じような失敗につながってしまうはずです。
それを防ぐために、授業で出た反省はすぐプリントやスライドに反映させて、保存しておきましょう。
これを繰り返せば教材は少しずつアップデートされ、準備時間が短くなるだけでなく、授業の質も向上していきます。
ノートで板書計画を考える場合は、反省をそのページに書き込んでおき、スマホなどで撮影して保存しておくと良いでしょう。
教師の仕事には、授業以外の業務が多くあります。
この『授業以外の業務』は、データ入力や転記、集計、確認の読み合わせなどの単純作業を伴うものが多く、自動化することでかなりの時間を節約することができるようになるのです。
まず、もっとも単純な作業であり、多くの時間が使われるのがアンケートの集計作業です。
例えば、進路希望調査、科目選択調査、三者面談の希望調査、いじめアンケート‥‥‥などなど、挙げればキリがありません。
これらのアンケートを実施すると、その集計のために時間がどんどん過ぎていきます。
しかも、
アンケートの用紙、無くなりました
なんてことを言われた日には、共有フォルダを探って印刷し直して‥‥‥と、さらなる時間がかかります。
これらの集計作業にかかる負担を一発で解消してくれるのが、Googleフォームによるアンケートです。
Googleフォームは誰でも無料で利用でき、アンケートの集計を自動で行ってくれる素晴らしいサービスです👇
集計も自動で行ってくれます👇
解答方法も、択一式、複数選択、自由記述などに対応しており、学校の業務に利用すれば働き方改革が大きく進むことは間違いありません。
Googleフォームの使い方は、こちらの記事で解説しているので参考にしてください👇
Googleフォームは大変便利なサービスですが、タブレットやスマートフォンが使えないと導入できません。
そこでGoogleフォームに代わるものとして、マークシートがあります。
マークシートって便利だけど、お金がかかるからなあ…
と思われるかもしれませんが、『MarkScan』というフリーソフトを使えば無料でマークシートを導入できます!
このようなマークシートを簡単に作成でき…👇
スキャナを使って読み取れば、集計も一瞬です👇
この『MarkScan』というフリーソフトは多少の癖がありますが、慣れてくれば業務を助けてくれる強い味方になります!
『MarkScan』の使い方やトラブル対処法については、こちらの記事で紹介しているのでご覧ください👇
教師の事務作業では、生徒に関する様々なデータを扱います。
そのため、
……など、複数のEXCELファイルを結合する必要のある場面が頻繁に起こります。
そこで単純にコピペだけで作業が済めば良いのですが、テストを欠席した生徒がいて名簿が抜けていたり、全員が履修していない科目の成績表だったり、名簿の生徒の順番が入れ替わっていたり……という様々な事情があり、一人ひとりずれていないか確認する必要が出てきます。
そんな悩みを解決してくれるのが、『VLOOKUP関数』です!
『VLOOKUP関数』は検索して値を見つけてくれる関数なので、途中で抜けていたり、順番が変わっていたりしても大丈夫です。
本当に生徒全員がテストを受験したかしら…?
点数がズレていないかな…?
などの悩みはすべて解消されます。
もし生徒がいなければエラーが出て教えてくれるし、名簿が入れ替わっていても途中で飛んでいても問題ありません。
EXCELファイルの結合の際に『VLOOKUP関数』を使うことで、シンプルに早く作業が終わるだけでなく、確認作業の時間を省略できます!
『VLOOKUP関数』の使い方と実践例はこちらの記事で紹介しているので、ぜひご覧ください👇
『費用対効果』という言葉は聞いたことがあると思います。
「かけた費用に対してどれだけの効果があったか」ということです。
それに対して『時間対効果』とは、「かけた時間に対してどれだけの効果があったか」です。
私たち教員にとって、大事なのはお金(利益)ではなく時間です。
限られた時間の中で、最大限の効果を上げなければいけません。
無意味なことに時間をダラダラと使っていては、いつまでたっても仕事が片付きません。
教師の仕事というのは『生徒のため』という魔法の言葉によって、これまで無限に増やされてきました。
「どんな小さな『生徒のため』でも、それが『生徒のため』ならば教師はやるべきだ」という考えが根付いています。
この考え方を捨てて、『時間対効果』の視点から業務を見直してみましょう。
学校の業務は、基本的に1年サイクルの繰り返しです。
そのため、ほとんどの業務が昨年度の資料を参考につくられていきます。
時間が短縮できるのでメリットは大きいですが、一方であまり見直しをされないまま、昨年と同じことを繰り返すというデメリットもあります。
この学校行事、『例年通り』進めていこうかな…
というように、多くの業務が『去年もやっているから』という理由で動き出します。
そこに『時間対効果』や『業務改善』という考えはありません。
業務を見直すためには、
去年は〇〇を行ったけど、あまり効果がなかった気がする。
本当に必要なのかな……?
というような、『例年通り』を疑う考え方が必要です。
『去年やったから今年もやる』という思考停止状態だと、業務は無限に増えていく一方です。
『去年やったけど、本当に効果はあったのか?本当に必要なのか?』と疑って、業務を精選&削減していきましょう。
学校では生徒の家庭学習を促し、学力をつけて成績を高めるために宿題を出していると思います。
しかし、その宿題が本当に生徒の家庭学習を促し、学力をつけて成績を高めているのかを確認してみてください。
などの項目について、一度確認してみると良いでしょう。
最も意味のない課題は、とにかく量を重視した課題です。
例えば、国語の担当をするあなたが『毎日、漢字を100字書いて提出!』という課題を出すとします。
しかし、数学の担当教諭からは『毎日、計算ドリルを4ページ提出!』という課題が出され、英語の担当教諭からは『毎日、英単語を100回書いて提出!』という課題が出されるとどうでしょうか。
それぞれの担当は「自分の教科が得意になってほしい」という思いから課題を出しますが、生徒からするととても1日で終えられる量ではありません。
そうなると、生徒は『先に “さんずい” だけ100回書く』とか『最初から答えを見て、答えを写す』とか『短い英単語ばかり書く』というように、提出することが目標になってしまいます。
こうなっては、課題の本来の目的である学力向上は期待できません。
また、このような無意味な課題を提出させて、チェックを行っても何も生産性がありません。
未提出者に居残りをさせても、まったくの無意味です。
無意味ですが、時間はどんどん消費されていきます。
つまり、無意味な課題の作成・配布・チェックなどに使った時間がすべて無駄になるのです。
これは課題を作成・回収する教員だけでなく、生徒たちの大切な時間も奪っているため重罪です。
このような状況なら、その課題は即刻見直しor廃止すべきです。
教員のあなた1人の視点だけでなく、その生徒に立場になって、課題の量・内容が適切なのかをもういちど見直してみましょう。
もし多すぎる、効果が薄いと感じるなら、思い切って廃止してみましょう。
学校には、『昔その学校にいた誰かが善意で始めて、形だけ残った業務』というのが多く存在します。
これらの業務も、発足当時は目的と熱意があって始まったのでしょうが、今となっては「去年もやったから」という惰性で続くものも多いでしょう。
「誰が始めたのか分からない」「目的が分からない」という状況なら、見直しのチャンスです。
例えば『保護者面談』は、保護者・担任ともに負担の大きい業務です。
そして『夏休み保護者面談』は多くの学校で行われており、『保護者との顔合わせ』という意味合いもあるでしょう。
しかし、本当に『夏休み保護者面談』は必要なのでしょうか?
もしあなたの勤務校の多くの教員が
保護者の方にわざわざ来てもらっても、特に話すことが無いんだよね~…
と感じているなら、廃止してもいいのではないでしょうか?
だって、話すことがないんですから。
そこで『去年もやってるし、他の学校もやってるから』という理由で実施しても、『話すことがない』という状況は変わりません。
高校では大学受験を受ける生徒のため、計画的に模試を実施しています。
しかし平日に模試を実施することはできないため、休日に実施している学校が多いでしょう。
他にも、『受験で有利になるため』ということで、学校で検定試験を行うことも多いと思います。
しかし、その模試・検定を実施するためには、プリントの作成・配布、注文、監督、集計、発送など、教員に大きな負担がかかります。
そこで考えるべきは、『その模試・検定は本当に必要なのか?』ということです。
などのように、労力に見合っていない状況の場合は思い切って廃止してはどうでしょうか。
「受験希望者が1人でもいれば、実施してあげるべきだ!」という考えもありますが、時間対効果を考えてみてください。
受験生が20人いる場合と、受験生が1人しかいない場合でも、模試・検定試験に必要な時間はほとんど変わりませんが、時間対効果は『20分の1』になります。
繰り返しますが、『1ポイントでも生徒のためになることは全てやる』のではなく、『かけた時間に対して、何ポイント生徒のためになったのか』を考えるのです。
このような視点で仕事をしていれば、時間を多く浪費している業務を見つけることができるはずです。
教師の仕事の量は、ある程度自分の裁量で決めることができます。(だから残業代が出ないことになっている。)
宿題のノートチェックが終わらない……
と嘆く教員がいたとしても、
その課題、自分で出したんでしょう?
と言われればそれまでです。
でも実はその通りで、『自分で課題を出して、そのチェックが終わらずに家に帰れない状況』というのは、自分で自分の首を絞めている状態なのです。
教員の仕事は『やりがい』が大きすぎるため、ついつい張り切って様々なことに手を出してしまいがちです。
学級通信を毎日発行するって決めたけど、ネタがなくて書けない……
毎回の授業で小テストを行っているけど、採点が間に合わない……
という状況がよく見られますが、実はすべて自分で自分の首を絞めているだけなのです。
4月にクラスが決まり、学級通信を発行する頻度を決めるとき、最初の勢いで
よーし、今年は張り切って学級通信を毎日発行するぞー!
と決めてしまうと危険です。
冷静になって、
木曜日が空き時間が多いから学級通信は週1回、この時間に作成しよう。
とか、
今年はまとまった空き時間が少ないから、発行は2週間に1回にしよう。
のように、ちゃんと自分の時間の使い方を考えてから決めるべきです。
授業で課題を出すときも、
生徒たちに頑張ってほしいから、毎時間課題を出して、提出させてチェックしよう!
と勢いだけで決めるのではなく、
この課題のチェックには1クラスで30分はかかりそう。
木曜は3時間の空きがあるから、木曜の朝に提出させて空き時間にチェックして、金曜の授業で返却しよう。
というように、回収してチェック・採点する時間まで決めておくと良いでしょう。
このように、自分の時間の使い方をマネジメントすることがとても重要です。
自分で仕事の量を決定できるのだから、自分で自分の首を絞めるようなことは止めましょう。
最後に、クラス担任の働き方です。
クラス担任は、教師として最大のやりがいを感じる仕事です。
自分のクラス・学年の生徒たちには、いくらでも手をかけてあげたくなります。
しかし、ここでもやりすぎは禁物です。
考えるべきは『時間対効果』で、『限られた時間の中で、最大限の成果を得る』ことが重要です。
私が担任を何度か務めて思うことは、4月がとても重要だということです。
クラスで問題行動や不登校の生徒が出てしまうと、担任としてとても苦しい思いをしなくてはなりません。
できるだけこれらの事態を避け、クラスが平穏な状態を維持することが重要です。
私が担任を務めるとき、4月に考えるのは次の事項です。
① 明確なルールをつくる
② 厳しさを見せる
③ ルールを決めたら、それ以上を求めてはいけない
④ 学習への意識付けを行う
⑤ 持続可能な計画を立てる
これらについては、下の記事で詳しく説明しています👇
4月のうちにしっかりと道筋を示し、全員が正しい方向を向いているうちはあまり干渉しすぎないようにしています。
関与しすぎると生徒から頼られすぎてしまい、生徒たちの自主性を育てることができません。
「道を外れたら修正する」程度に留め、生徒が自分たちでクラスを作り上げていくのを見守りましょう。
生徒たちをルールで縛り付けても、放置しすぎても、厳しきしすぎても、ゆるくしすぎても、クラス運営は失敗します。
生徒と適切な距離感を保ちつつ、遠くから見守ることが大切です。
ここはその先生のキャラクターや、経験、年齢などによって少しずつ変わると思います。
生徒との適切な距離を見つけ、近づきすぎず、遠くなりすぎないように注意しながら生徒たちと接していきましょう。
しかしどれだけ注意していても、何かしらの問題は起こります。
そこで大事なことは、大きな問題に発展する前に対処することです。
いじめや不登校などが深刻化してしまうと、取り返しがつきません。
その対応にも多くの時間が取られてしまい、授業のパフォーマンスも下がってしまいます。
大きな問題の前には、必ず小さな変化があります。
普段からよくクラスを観察し、小さな変化が起きたとき適切に対処することが重要です👇
深刻化する前に手を打ち、クラスの平和を保ちましょう。
クラスが平和であれば、担任も心穏やかに日々を過ごすことができるようになります。
それによって仕事の質が向上し、心身ともに健康な状態を保つことができるでしょう。
いかがだったでしょうか。
教師の仕事は、本当にやりがいに満ちています。
生徒たちの反応が良いときは、あれもこれもやってあげたくなるものです。
しかし思いつくまま全てのことに手を出していると、仕事は無限に増えていく一方です。
定時退勤をするために大事なことは、常に時間を意識することです。
繰り返しになりますが、私たち教師は、仕事の量をある程度自分で決めることができます。
時間内に終えることができないことには手を出すべきではありません。
新しいことに手を出すときは、『この業務はどの時間でやるのか』を決めてから着手するようにしましょう。
その計画通りに時間を使うことができれば、定時退勤を守りつつ、新しいことにチャレンジできます。
『やりがい』が大きい仕事だからこそ、それに惑わされてはいけません。
時間内で最大限の効果が出せるよう働き方を工夫して、時間になったら家に帰ってリフレッシュして翌日を迎えられるようにしましょう。
心身ともに健康でいることが、何よりも生徒たちのためです!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
今回の記事で、1人でも多くの定時退勤できる仲間ができると嬉しいです。
質問やご意見、ご感想などがあればコメント欄にお願いします👇