こんにちは。福田泰裕です。
私は高校教師として数学・情報を教えており、他にもクラス担任やICT担当、その他の雑務などの業務を行っていますが、毎日定時退勤を決めています。
この記事では、定時退勤するために必要なメンタル面についてまとめていきます。
最後まで読んでいただけると、嬉しいです。
目次
私たち教師の世界では、悲しいことに『残業が当たり前の働き方』が蔓延っています。
時間外の会議、時間外の授業準備、時間外の部活動…
定時退勤するためには、これらの逆境に打ち勝つ強いメンタルが絶対に必要です。
まずは、その強いメンタルを手に入れる術をご紹介します。
私たち教師は、公務員であり労働者です。
公務員として身分が保証されており、更に労働者として法律によって守られています。
その法律について正しく知ることで「定時退勤するためのメンタル」がかなり強化されます。
さらに、法律について知っておくと、自分の発言の根拠が明示できるので自信をもって意見を述べることができるようになります。
まずは法律について知り、自分の味方につけましょう。
給特法は、正式名称を『公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法』といい、公立学校の教職員のみに適用される法律です。
この給特法の第6条に、定時退勤するために絶対に知っておくべき事が書かれています。
教育職員(管理職手当を受ける者を除く。以下この条において同じ。)を正規の勤務時間(一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律(平成六年法律第三十三号)第五条から第八条まで、第十一条及び第十二条の規定に相当する条例の規定による勤務時間をいう。第三項及び次条第一項において同じ。)を超えて勤務させる場合は、政令で定める基準に従い条例で定める場合に限るものとする。
勤務時間を延長する場合の規定は、給特法第6条第1項に記載されています。
「勤務時間を延長する場合は政令で定める場合に限る」と書かれています。
「限る」ということは、逆にいえば「政令に定められていない場合は絶対に延長してはダメ」ということです。
その「政令」とは、こちらの政令です👇
その勤務時間を延長することができる条件が定められた「政令」とは、平成16年4月から施行された「公立の義務教育諸学校等の教育職員を正規の勤務時間を超えて勤務させる場合等の基準を定める政令」のことです。
この政令には、勤務時間を延長できる4つの場合が記載されています。
教育職員に対し時間外勤務を命ずる場合は、次に掲げる業務に従事する場合であって臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに限るものとすること。
イ 校外実習その他生徒の実習に関する業務
ロ 修学旅行その他学校の行事に関する業務
ハ 職員会議(設置者の定めるところにより学校に置かれるものをいう。)に関する業務
ニ 非常災害の場合、児童又は生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合その他やむを得ない場合に必要な業務
その4つの場合とは「校外実習」「修学旅行」「職員会議」「非常災害」です。
これがいわゆる『超勤4項目』と呼ばれる業務です。
ただし、「臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに限るものとする」とあるため、日常的であったり計画的であったりしてはダメです。
やむを得ない場合のみ、時間外勤務を命じることができるのです。
給特法第6条の記載と合わせれば、緊急でない業務や『超勤4項目』以外の業務では、時間外勤務を命じることはできないということになるのです。
この法律については、こちらの記事に詳しくまとめているのでぜひご覧ください👇
まずはこの2つの法律・法令を知っているだけでも、かなり心強い味方となります。
学校現場での時間外業務は、ほとんどが『生徒のため』『保護者のため』『他の教員のため』などの精神論です。
これら精神論にこちらも精神論で対抗すると…
17時から、〇〇の仕事をお願いできる?
ちょっと今日は早く帰りたいんですけど…
みんな残って協力してくれるし、生徒のためなんだよ?
分かりました…
と、言いくるめられてしまいます。
しかし法律を知っていれば、これら精神論を一撃必殺できます。
17時から、〇〇の仕事をお願いできる?
それは、超勤4項目に含まれますか?
含まれないならば、引き受けることはできません。
このように法的根拠があれば、相手はぐうの音も出ません。
管理職から時間外の業務をお願いされたときは、『超勤4項目に含まれますか?』という言葉を武器に戦いましょう。
さて、法律を知れば『定時以降は働かなくて良い』ということが分かったと思います。
次に大切なことは「定時に帰る」と誓うことです。
私たちの仕事には終わりがなく、いくらでも仕事はあります。
「生徒のために…」と考え始めれば、仕事は無限に増えていく一方です。
何でもかんでも「生徒のために」とやっていては、絶対に定時に帰ることはできません。
定時に帰るためには、「定時に帰るために」仕事をしなければならないのです。
注意!
「定時に帰るために働くこと」と「生徒を見捨てること」はまったく関係ありません。
定時に帰っても、生徒のために働くことはできます。
そして、定時に帰るために必要なのは、仕事を精選することです。
きっと、この記事を読まれている今のあなたの環境は、様々な仕事を抱えこみ、時間に追われていて勤務時間外に働くことが当たり前の状態だと思います。
定時に帰るためには、自分の周りから仕事を見直し、精選していきましょう。
この具体的な方法については、後日「実践編」という記事にまとめたいと思います。
さて、実際に定時に帰れるようになったとしても、最後の壁が立ちはだかります。
職員室で席を立つとき、「あれ、もう帰るの?」という同僚たちの存在です。
私たち教員は、時間外勤務が常態化しすぎているため、17時になってもほとんどの人は帰る気配がなく、まだまだ仕事を続けています。
そんな中、机の上を整理して鞄をもって席を立つと、
あれ?
〇〇先生、もう帰るんですか?
と、驚かれることが予想されます。
そこでメンタルが整っていないと、
まだ多くの人が残って働いているのに、自分だけ帰っていいのか?
という邪念が心をよぎります。
職員室を見渡せば、まだまだ多くの教員がせわしなく仕事をしているのだから、そう思うのも当然です。
こういうときは、上で述べた『法律』を思い出してください。
給特法第6条と政令により、教員の時間外業務を命じることができるのは『臨時・緊急のやむを得ない超勤4項目』の場合に限られています。
この『超勤4項目以外』の業務であれば、たとえ校長であろうとも、あなたに時間外勤務を命じることはできないのです。
この法的根拠を自分に言い聞かせれば、誰から何と声をかけられても恐れることはありません。
さっさと職員室から退散しましょう。
もし誰かに呼び止められて仕事をお願いされても、
この仕事、お願いできる?
すいません、その仕事は明日やります!
と言って、帰りましょう。
こうやって定時に帰り続けると、同僚からは
〇〇先生は、いつも定時に帰る人…
と認識されます。
こうなると、いろいろと便利なことが起こります。
最初のうちは、定時退勤のときに同僚から「もう帰るの?」と驚かれ、そのたびに
みんな働いているのに、帰っていいのかな?
と、不安になります。
しかし、これは最初のうちだけ。
いつも定時に帰っていると、だんだん慣れてきます。
むしろ、定時に帰っていることが誇らしく思えてくるものです。
定時に帰ろうと思って仕事を進めているのに、残り数分になって仕事をお願いしてくる同僚がいます。
なぜなら、『勤務時間』という概念がない教員が多いので、定時を過ぎても仕事に付き合ってくれると思い込んでいるのです。
しかし、
定時になったので、その仕事は明日やります。
のように勤務時間を意識した発言をして定時退勤を続けていると、
〇〇先生は17時に帰るから、仕事をお願いする場合は早めに言おう。
と、まともな同僚の方は考えてくれるようになります。
これでますます定時退勤しやすくなるのです。
勤務時間の概念がない教員が多い職員室では、だらだらと雑談しながら仕事をする教員もいます。
雑談は楽しいですが、その雑談に付き合っていては仕事は片付きません。
『雑談よりも、定時に帰って家で過ごす時間の方がずっと楽しい』ことを忘れてはいけません。
まず、早く帰ることで自分の時間が確保できます。
自分の時間があれば読書やテレビ、ゲーム、ネットショッピング、楽器演奏などの趣味の時間を過ごすことができます。
遅くまで仕事をしていると『仕事→帰宅→寝る→起きる→仕事→…』という生活スタイルになり、『仕事』と『寝る』だけで一日が終わってしまいます。
このような状態では、
私、いつも仕事ばかりしてる…。
何のために生きているんだろう…
というように考えてしまうのも無理はありません。
働いてお金を稼ぐ理由は、自分の生活を豊かにするためです。
働くことが目的になっていては、幸せにはなれません。
もし定時退勤できると、帰宅してから寝るまでの数時間が自由な時間になります。
この『自分の時間がたっぷりある』ことは、生活を豊かにしてくれます。
今日は帰ってから、Amazonプライムで映画を観るぞー!
と、一日の最後に楽しい時間を過ごすことを考えると、日中の活動にも活力が湧いてきます。
当たり前ですが、自分の時間を楽しみに生きることは大切なのです。
結婚して家族ができると、話が少し変わってきます。
特に子どもができると、1日1日がかけがえのない大切な時間となります。
子育ては「初めて寝返りができた!」「初めてしゃべった!」など、感動の連続です。
「パパ、抱っこー!」のように父親に抱っこをねだってくるなんて、子どもが小さい頃のほんの短い期間です。
(数年もすれば、「お父さん、部屋に入ってこないで」と言われるのです…)
これらの感動を夫婦で共有しながら、協力して子育てを進めていくためには、夜7時や8時まで残業しているわけにはいきません。
このかけがえのない時間を過ごすため、定時に退勤しなくてはならないのです。
いかがだったでしょうか。
定時退勤を続けていると、夜遅くまで働いていた頃と比べ、まったく違う視点で仕事を見ることができます
この仕事は本当に必要なのか…?
この仕事は、時間に対して効果が薄い気がする…!
この仕事は、こうすればもっと早くできるぞ…!
これらのことを考えて仕事をすることで、
残り1時間でアレとアレを仕上げるために、〇〇な工夫をしよう!
この仕事はすぐ終わるから、今すぐ取り掛かろう!
というように、パフォーマンスが大きく向上します。
夜遅くまで働くことが常態化している学校現場では、無制限にダラダラと仕事をしたり、会議をしたりする習慣が根付いています。
定時退勤するためには、ダラダラと仕事をしている余裕はありません。
全員で定時退勤しようという流れになれば、学校現場は大きく変わると思います。
まずは自分から、少しずつ周りの人を巻き込んで、定時退勤の流れを大きくしていきましょう!
私は定時退勤のために、自分の周りの仕事を精選しました。
具体的な実践については、次の記事にまとめたいと思います。
しばらくお待ちください!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
質問やご意見、ご感想などがあればコメント欄にお願いします👇
View Comments
素晴らしいですね。
教員の働き方に対してネガティブな発信をされている方が多い中、今後、教員を目指す人にとって勇気を与える内容でした。
これからもっと、定時退勤の風潮が広まるといいですね。
ありがとうございます!
教員の働き方が変わり、多くの若者が教師を目指すようになることを願っています!