こんにちは。福田泰裕です。
テストを実施すると、誰もが平均点を気にします。
自分が作ったテストだと、高すぎても低すぎても不安になります。
生徒は、自分の点数が平均点より高いか低いかをものすごく気にします。
このように教師も生徒も平均点に一喜一憂しているのですが、集団を見るときに平均値しか見ていないと大事なものを見落としてしまうかもしれません。
この記事では、平均値の問題点についてお話します。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
目次
平均値とは、全員の点数から計算される代表値の1つです。
平均値についての詳しいことは、こちらの記事に書いているので参考にしてください👇
平均値は、おそらく最も親しまれ、最もよく使われる代表値でしょう。
平均値は誰もが知っている通り、次のようにして求めることができます。
\(n\) 個のデータ$$x_1, x_2, x_3 , \cdots , x_n$$がある。
この平均値 \(\bar{x}\) は、$$\bar{x} = \frac{x_1 + x_2 + x_3 + \cdots + x_n}{n}$$である。
他の代表値と比べて平均値がよくつかわれる理由として、全員の点数が反映されるということが挙げられます。
例えば他のクラスと最高点だけを競う場合、1位以外の生徒の点数は無視されます。
しかし、平均点を競うとなると、全生徒の努力が必要となるのです。
全員の得点が上がれば、平均点も上がる。
これは間違いありません。
しかし平均値だけでは、集団全体の分布は分からないのです。
突然ですが、日本人の年収の平均はどれくらいだと思いますか?
平成30年度(2019年度)の日本人の平均年収は、441万円です。
これを聞くと、多くの人が
えっ!441万円!?
意外と高い…
俺の年収なんて……
と、落ち込んでしまうかもしれません。
自分の年収が平均を下回っていると、誰だって悲しいものです。
しかし、年収ごとの人数を集計した次のグラフを見てください。
グラフが平均より左側に寄っているのが分かるでしょうか。
実は、年収が441万円以上の日本人は全体の約40%なのです。
平均年収の中央値は約350万円と言われています。
つまり、労働者全員を年収順に並べたとき、年収350万円の人がちょうど真ん中にくるということです。
年収441万円の人は、前から40%あたりに位置します。
金額は平均でも、順番に並ぶと前から40%のところにいるのです。
その理由は、高収入の人たちが平均値を大きく引き上げているためです。
年収の最低は0円ですが、最高は1億円、2億円…と上限がありません。
そういう人たちが、平均値を上に引き上げているのです。
平均値だけでは、ここまで知ることはできませんよね。
このような話は、学校のテストでも同じようなことが言えます。
例えば2つのクラスでテストを行い、次のような結果になったとしましょう👇
この結果をみて、
2組の方が良く頑張っているね!
と判断して良いのでしょうか?
答えはもちろん「No」です。
平均点が高いからと言って、全員の点数が高いとは限りません。
平均年収のお話と同じように、突出した人がいると平均点を大きく引き上げたり、引き下げたりしてしまいます。
上は極端な例ですが、1組は出席番号10の生徒が平均を大きく引き下げ、2組は出席番号1の生徒が平均を大きく引き上げています。
もし突出した生徒をそれぞれ除くと、1組と2組の平均は逆転します。
このような事は、平均点だけを見ても知る術はありません。
平均値だけを見てその集団を評価するのは危険なのです。
ちゃんと全体の分布を見る必要があります。
いいかがでしたでしょうか。
教師をしていると、つい自分の担当するクラスの平均点を他のクラスと比べてしまいがちです。
しかしこの記事で紹介した通り、平均点だけを見てクラスを評価することは危険です。
突出した生徒がいると、全体の平均を大きく引き上げたり、引き下げたりしてしまうからです。
「隣のクラスより平均が高かったからOK!」というのではなく、1人ひとりの点数の分布をしっかり確認してみましょう。
それによって、正しい評価ができるでしょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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