こんにちは。福田泰裕です。
最近、教師の残業時間が多すぎることがよくニュースで取り上げられています。
この記事では、文部科学省が行った教員勤務実態調査の平成18年度調査と平成28年度調査を比べながら、教師の業務内容がどのように変わってきたのかを読み解いていきます。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
目次
昭和41年度 教員勤務実態調査との比較
まずは、昭和41年に行われた教員勤務実態調査と比較してみます。
1か月の残業時間の辺か
1年間の調査から1か月あたりの残業時間を算出したものを比べています。
(調査対象は校長、教頭、教諭、栄養教諭、養護教諭、常勤講師。)
1か月の残業時間 | |
昭和41年度調査 | 約 8時間 |
平成18年度調査 | 約42時間 |
ちなみに昭和41年度の調査の結果(1か月の残業時間は約8時間)から、現在の教職調整額4%が算出されています。
現在の残業時間は大きく増加しているにもかかわらず、教職調整額の変更は行われていません。
勤務内容の変化
教員の勤務内容の変化を見てみましょう。(出典:文部科学省調査)
昭和41年と比べると、勤務内容が大きく変化していることが分かります。
自主研修の時間が大幅に減少しています。
その変わりに、生徒指導と事務的な業務が大きく増加しています。
多様な生徒を受け入れる必要が出てきたため、学校では対応に疲弊しています。
またパソコンを苦手とする教員も多くいるため、事務作業を負担に感じている教員が多いようです。
平成18年度と平成28年度の比較①:勤務時間の職種別の変化
それでは、平成18年度調査と平成28年度調査を比較していきます。
まずは勤務時間の変化を、職種別に見ていきましょう。
1日あたりの勤務時間(平日)の変化
まず、1日あたりの正規の勤務時間は、平成18年度は8時間、平成28年度は7時間45分です。
小学校
平成18年度調査 | 平成28年度調査 | |
---|---|---|
校長 | 10時間11分 | 10時間37分 |
副校長・教頭 | 11時間23分 | 12時間12分 |
教諭 | 10時間32分 | 11時間15分 |
講師 | 10時間29分 | 10時間54分 |
養護教諭 | 9時間38分 | 10時間07分 |
中学校
平成18年度調査 | 平成28年度調査 | |
---|---|---|
校長 | 10時間19分 | 10時間37分 |
副校長・教頭 | 11時間45分 | 12時間06分 |
教諭 | 11時間00分 | 11時間32分 |
講師 | 11時間04分 | 11時間16分 |
養護教諭 | 10時間01分 | 10時間18分 |
正規の勤務時間は15分短くなったにも拘わらず、すべての職種で勤務時間は増加しています。
1日あたりの勤務時間(土日)の変化
次に、土日の勤務時間を比べてみます。
もちろん土日は休みなので、勤務時間はそのまま超過時間となります。
小学校
平成18年度調査 | 平成28年度調査 | |
---|---|---|
校長 | 0時間42分 | 1時間29分 |
副校長・教頭 | 1時間05分 | 1時間49分 |
教諭 | 0時間18分 | 1時間07分 |
講師 | 0時間17分 | 0時間57分 |
養護教諭 | 0時間07分 | 0時間46分 |
中学校
平成18年度調査 | 平成28年度調査 | |
---|---|---|
校長 | 0時間54分 | 1時間59分 |
副校長・教頭 | 1時間12分 | 2時間06分 |
教諭 | 1時間33分 | 3時間22分 |
講師 | 1時間25分 | 3時間10分 |
養護教諭 | 0時間19分 | 1時間10分 |
平日と同じく、すべての項目で増加しています。
特に、中学校の教諭と講師の勤務時間は3時間を超えています。
理由はもちろん、部活動だと考えられます。
小学校は部活動が無いため、土日の勤務は抑えられているのでしょう。
平成18年度と平成28年度の比較②:勤務時間の年代別の変化
次に、勤務時間の変化を年代別に見ていきましょう。
1日あたりの勤務時間(平日)の変化
1日あたりの正規の勤務時間は、平成18年度は8時間、平成28年度は7時間45分です。
小学校
平成18年度調査 | 平成28年度調査 | |
---|---|---|
30歳以下 | 11時間22分 | 11時間49分 |
31~40歳 | 10時間38分 | 11時間16分 |
41~50歳 | 10時間26分 | 11時間03分 |
51~60歳 | 10時間06分 | 10時間56分 |
中学校
平成18年度調査 | 平成28年度調査 | |
---|---|---|
30歳以下 | 11時間51分 | 12時間08分 |
31~40歳 | 11時間13分 | 11時間43分 |
41~50歳 | 10時間52分 | 11時間18分 |
51~60歳 | 10時間20分 | 11時間07分 |
いずれの校種においても、若い年代の方が勤務時間が長い傾向にあります。
また、すべての年代において平成28年度調査の方が勤務時間が長くなっています。
1日あたりの勤務時間(土日)の変化
次に、土日の勤務時間を比べてみましょう。
小学校
平成18年度調査 | 平成28年度調査 | |
---|---|---|
30歳以下 | 0時間30分 | 1時間24分 |
31~40歳 | 0時間16分 | 1時間09分 |
41~50歳 | 0時間18分 | 0時間59分 |
51~60歳 | 0時間14分 | 0時間57分 |
中学校
平成18年度調査 | 平成28年度調査 | |
---|---|---|
30歳以下 | 2時間11分 | 4時間20分 |
31~40歳 | 1時間48分 | 3時間49分 |
41~50歳 | 1時間26分 | 2時間52分 |
51~60歳 | 1時間00分 | 2時間42分 |
なんと、中学校の30歳以下の教員は土日の勤務時間は4時間を超えています!
これはきっと、若い教員は運動部の顧問を任されることが多いことが原因にあると思います。
まとめ:中学校の若い教員の勤務時間が長すぎる
いかがでしたでしょうか。
この結果から分かることは、
- 平成18年度よりも、平成28年度の方が勤務時間が長い。
- 小学校よりも中学校の教員の方が勤務時間が長い。
- 若い教員の方が勤務時間が長い。
ということです。
中学校の若い教員の勤務時間が長い理由は、部活動だと考えられます。
生徒は部活動を通して多くのことを学び、大きく成長していくのは事実です。
しかし、多くの教師が長時間の無給労働を強いられていることに目を背けてはいけません。
教師の働きすぎが問題になっている今、部活動の在り方を見直すべきだと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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