こんにちは。福田泰裕です。
多くの高校生が、数学Aで確率を習います。
この確率という単元は他の単元と違い、日常生活と関連付けやすい分野だと思います。
それ故に、勘違いを起こしている人も多いのです。
今回は、この確率の考え方の勘違いについてのお話です。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
目次
高校で学習する確率では、答えが分数になります。
絶対に起こらない事象の場合は確率が 0 、絶対に起こる事象の場合は確率が 1 で、この 0 と 1 の間で答えが求まります。
答えが 1 に近いほどよく起こる事象であるということです。
しかし、ここで勘違いが起こります。
例えば、サイコロを1回投げて6の目が出る確率は \(\displaystyle \frac{1}{6}\) です。
この \(\displaystyle \frac{1}{6}\) という答えは、サイコロを6回投げると6の目が1回出るということではありません。
実際にサイコロを6回投げてみましょう。
6の目がちょうど1回だけ出ることはなかなかありません。
なぜなら、6回の試行で確率 \(\displaystyle \frac{1}{6}\) の事象がちょうど1回起こる確率は、
\(\displaystyle {}_6 \mathrm{ C }_1 \left(\frac{1}{6}\right)^1 \left(\frac{5}{6}\right)^5 = \frac{3125}{7776} = 約40.2% \)
と、半分もないのです!
どういうことでしょう?
そもそも確率 \(\displaystyle \frac{1}{6}\) とは、6回の試行でちょうど1回起こるということではありません。
確率という分野は、大数の法則に基づいています。
【大数の弱法則】
平均が \(\mu\) である分布に互いに独立な確率変数 \(X_1, X_2, X_3, \cdots ,X_n\) において、その平均を
$$\bar{X} = \frac{X_1 + X_2 + X_3 + \cdots +X_n}{n}$$
とすると、任意の正の数 \(\epsilon\) に対して、
$$\lim_{n \to \infty}P \left( \left| \bar{X} – \mu \right| > \epsilon \right) =0$$
どういうことかと言うと、実際の試行から得られた平均
$$\bar{X} = \frac{X_1 + X_2 + X_3 + \cdots +X_n}{n}$$
は、\(n\) を限りなく大きくすると、本来の平均 \(\mu\) に限りなく近づくということです。
10回や100回のような回数ではなく、限りなく多い回数を行ってはじめて確率通りの結果になるというのですね。
今回のように、サイコロを投げる試行を例にして考えてみましょう。
サイコロを投げて出る目は \(1,2,3,4,5,6\) なので、平均は \(\mu = 3.5\) です。
よって、大数の弱法則に従うと…👇
サイコロを \(n\) 回投げ、\(i\) 回目に出た目を \( X_i\) とする。
このときの出た目の平均は、
$$\bar{X} = \frac{X_1 + X_2 + X_3 + \cdots +X_n}{n}$$
である。
この目の平均 \bar{X} は、\(n\) を限りなく大きくすると、\(\mu = 3.5\) に限りなく近づく。
ただ、確かめるために実際にサイコロを何百回も投げるのは無理なので、EXCELで乱数をつくる関数を利用して自動でサイコロを500回投げたことにしました。
1回目
2回目
3回目
4回目
5回目
どうでしょうか?
サイコロを投げた回数が \(n=10\) や \(n=100\) のうちは、平均 \(\mu =3.5\) とのズレが大きいときもあります。
しかし、\(n=500\) になると、どれも平均がほぼ \(3.5\) に近づいているのが分かると思います。
この \(n\) を限りなく大きくするのだから、平均はさらに \(3.5\) に近づいていくことが想像できるでしょう。
これが、確率の大原則・大数の法則です。
いかがでしたでしょうか。
サイコロを投げて6の目が出る確率は \(\displaystyle \frac{1}{6}\) ですが、これはサイコロを6回投げて1回出るという訳ではなく、サイコロを無限に投げたときに6回に1回の割合で出るということです。
無限に投げて、はじめて計算通りの結果となるのですね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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