こんにちは。福田泰裕です。
高校数学の関数分野で最も多い問題が、最大値と最小値を問う問題です。
数学Ⅰでは2次関数、数学Ⅱでは3次関数や三角関数など、数学Ⅲでは複雑な関数の最大値・最小値を求めることになります。
こういう問題を解くとき、開区間の端は最大値・最小値をとらないということを知っていないといけません。
このことに対して疑問に思う高校生が多いです。
今回は、開区間の端は最大値・最小値をとらない理由について解説していきます。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
目次
開区間の端では最大値・最小値をとらないとは、どういうことでしょう。
次の例題を考えてみてください。
【例題】
関数 \(y=x^2-2x-1 (0<x<3)\) の最大値・最小値を求めよ。
数学Ⅰの基本的な例題です。
2次関数なので、平方完成をしてグラフをかけば簡単に求まるはずです。
\begin{eqnarray}
y &=& x^2 -2x-1 \\
&=& (x-1)^2 -2 (0<x<3)
\end{eqnarray}
さてここで、このグラフから最大値と最小値を見つけます。
「 \(x=1\) のとき、最小値 \(-2\) 」
は問題ないと思います。
しかし、ここで
「 \(x=3\) のとき、最大値 \(2\) 」
と書いてしまうとダメなのです。
正しい答えは…👇
\(x=1\) のとき、最小値 \(-2\) 、最大値 なし
となります。
しかしこのような問題を授業で扱うと、
えっ!?
最大値なしってどういうこと?
グラフを見ると、最大値は 2 じゃないの?
という疑問をもつ高校生が多くいます。
それは、最大値と最小値の本当の意味を理解できていないために起こります。
それでは、最大値と最小値の本当の意味は何なのでしょうか。
もちろん、「最大値はその関数で最も大きい値」「最小値はその関数で最も小さい値」なのですが、それは厳密な定義にはなっていません。
「最も大きい」「最も小さい」とは、どういう意味でしょう?
これらを厳密に定義すると、次のようになります👇
簡単に言えば、最大値は他のすべての値より大きいor等しい、最小値は他のすべての値より小さいor等しいということです。
この定義を踏まえて、先ほどの例題を振り返ってみましょう。
\(y= (x-1)^2 -2 (0<x<3)\)
この関数の値域は、\(-2 \leq y <2\) です。
まず最小値から考えましょう。
最小値とは、他のすべての値より小さいor等しい値です。
この関数の値域の中の \(-2\) という値は、値域の他のどの値よりも小さい値です。
よって、この \(-2\) は最小値といえるのです。
次は最大値を考えます。
一見、\(2\) が最大値に見えるかもしれませんが、この \(2\) という値は値域にギリギリ含まれていません。
値域から最大値っぽい値を選んでみましょう。
例えば \(1.9\) という値は、この関数の値域に含まれています。
しかし、この \(1.9\) という値は、値域の他の値…例えば \(1.99\) より小さいです。
よって、\(1.9\) は最大値とはいえません。
それでは、この \(1.99\) が最大値なのかというと、そうではありません。
なぜなら、値域の他の値…例えば \(1.999\) より小さいからです。
よって、\(1.99\) も最大値とはいえません。
そして \(1.999\) は \(1.9999\) より小さいので最大値とはいえず、
\(1.9999\) は \(1.99999\) より小さいので最大値とはいえず‥‥‥
この議論を永遠に続けていっても、終わることはありません。
どれだけ頑張って大きい値を持ってきても、それより大きな値が存在してしまうのです。
つまりこの関数には、「他のどの値よりも大きいor等しい値」は存在しないということです。
最大値の定義は「他のどの値よりも大きいor等しい値」なので、「最大値は存在しない」ということになります。
これが「最大値が存在しない」といえる理由です。
いかがでしたでしょうか。
区間の端が大小両方とも「 \(\leq\) 」ではなく「 \(<\) 」であるとき、この区間を『開区間』といいます。
ちなみに、片方だけが「 \(<\) 」である区間を『半開区間』といいます。
この区間の端が「 \(<\) 」であるとき、その端では最大値・最小値をとることはありません。
なぜなら、どんなに頑張っても、それより大きい値or小さい値が見つかってしまうからです。
最大値と最小値の定義を正しく理解して、間違えないように注意しましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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