こんにちは。福田泰裕です。
授業でプリントを作成するとき、小説の一部や有名なイラストを利用したい‥‥‥ということがあります。
そんなとき頭をよぎるのは、
著作権は大丈夫かな?
ということです。
法律を破ってしまえば、最悪の場合処分されてしまうかもしれません。
今回は教師が授業準備の際に気を付けるべき著作権について、解説していきます。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
目次
著作権ってそもそも何?いつ与えられるの?
まず、著作権を語るうえで知っておくべき用語からご紹介します。
著作物 | 自分の考えや気持ちを作品として表現したもの。 |
著作者 | 著作物を創作した人。 |
著作権 | 著作者に対して、法律によって与えられる権利。 |
この3つの用語はよく出てくるので覚えておいてください。
著作物とは?
著作権法によると、著作物とは「思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの」とされています。
具体的には、
小説、論文、音楽、歌詞、絵画、版画、彫刻、地図、模型、写真、映画、テレビ番組、動画サイトのコンテンツ、プログラムなど
が著作物となります。
これらの著作物が創作された場合は、著作者へ著作権が与えられます。
著作権が発生するタイミング
次に知っておくべきことは、著作権が与えられるタイミングです。
著作権は、著作物が創作された時点で著作者へ自動的に与えられます。
特許権などとは違い、申請の必要はありません。
また、その著作物が高度なものなのか、文化的に価値があるのかはまったく関係ありません。
そのため、小学生が書いた作文や、幼稚園児が書いた絵にも著作権が与えられるのです。
著作権は、大きく2つに分けられる
次に、著作権について解説します。
著作権には多くの種類がありますが、大きく分けると
- 著作者人格権
- 著作財産権
2つに分けられます。
著作者人格権
まず、著作者人格権について解説します。
著作者人格権には、3つの種類があります。
① 公表権 | 公表するかしないかを決める権利。 |
② 氏名表示権 | 名前を載せるか載せないかを決める権利。 |
③ 同一性保持権 | 内容を勝手に変えられない権利。 |
これらの権利は、著作者の人格を守る権利です。
著作物を公表したり、名前を載せたり、内容を書き換えたりできるのは著作者だけで、他人が勝手に行うことができないようにしているものです。
頑張ってつくった著作物をどのように扱うかは、著作者のみが決定できるということです。
例えば生徒が書いた読書感想文がよく書けているからといって、勝手に学級通信などのプリントに載せてしまうのは公表権の侵害です。
そこに勝手に名前を表示すれば氏名表示権の侵害になり、勝手に誤字を訂正してしまえば同一性保持権の侵害になります。
生徒の作品を掲載するときは、本人に許可をもらってからにしましょう。
著作財産権
次に、著作財産権です。
著作財産権には多くの種類があります。
そのうち、教師に関係ありそうなものをピックアップしました。
① 複製権 | 印刷、写真、コピー機による複写、録音、録画などあらゆる方法で「物に複製する」権利。 |
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② 上演権・演奏権 | 演奏会や演劇会のように、多くの人に著作物を直接聴かせたり、見せたりする権利。 演奏を収録したCDなどを多くの人に聞かせることも含まれる。 |
③ 上映権 | フィルムやDVDなどに収録されている映画、写真、絵画などの著作物を、多くの人に見せるために上映する権利。 |
④ 公衆送信権 | テレビ・ラジオ・有線放送、インターネットなどによる著作物の送信に関する権利。ホームページに著作物を載せることもこの権利に含まれる。 |
⑤ 口述権 | 小説や詩などの言語の著作物を、朗読などの方法で多くの人に伝える権利。 |
⑥ 展示権 | 美術および写真の著作物(未発行のもの)を多くの人に見せるために展示する権利。 |
⑦ 翻訳権・翻案権 | 著作物を翻訳、編曲、変形、脚色、映画化などの方法で二次的著作物を作る権利。 |
これを読んで、どう思いましたか?
これ、学校では当たり前に行われてない…?
その通りです。
例えば①複製権については、教科書や問題集をコピーして使うことなんて日常的に行われています。
②上演権についても、学習用のDVDや音楽のCDを教室で流して多くの生徒に見せたり聞かせたりする活動は日頃からよく行われています。
これらの行為、全部アウトなの…?
と思うかもしれませんが、実はそうとは限りません。
著作権の例外規定(第35条)
著作権法によると、著作物を利用するときはいかなる場合でも、著作物を利用するごとに著作者の許諾を受け、必要であれば使用料を支払わなければならないとされています。
しかし、この著作権には例外規定があります。
例外に当てはまる場合は、著作者の許諾を得ることなく著作物を複製して利用できることを定めています。
この著作権の例外規定は様々な場面に適用されています。
私たち教師にとって最も関係あるのは、著作権法第35条です。
学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
著作権法 第35条1項
この著作権法第35条により、学校は著作物の複製が許される例外に含まれていることが分かります。
しかし、言葉が難しくてよく分かりませんよね。
どこまでがOKでどこからがNGなのか、この条文だけで判断するのは難しいです。
そこで、この著作権法第35条の学校その他の教育機関における例外規定について、JASRACがガイドラインを作成して詳しく解説しています👇
https://www.jasrac.or.jp/info/dl/gaide_35.pdf
これによると、次のように書かれています。
- 教育を担任する者…授業を担任する教師や講師など。(教員免許の有無は問わない。)
- 授業を受ける物…授業を担任する者の指導下にある者。
(研究授業や授業参観における参観者は含まれない。) - 授業の過程における使用…「授業」とは、クラスでの授業、総合学習、学校行事、ゼミ、実験、実習、実技などの活動や、部活動、林間学校、生徒指導、進路指導など学校の教育計画に基づいて行われる課外活動のこと。
(学級通信・学校だより等への掲載、教科研究会における使用、学校ホームページへの掲載、校内サーバへの蓄積などは「授業の過程」に含まれない。) - 必要と認められる限度…授業に必要な最小限の部分のみとする。
(原則として、部数は1クラスの人数(50人程度まで)と授業を担任する者の和を限度とする。) - 著作権者の利益を不当に害する…購入していない教科書や問題集をコピーすること、必要な期間を超えて教室内や学校内の壁面等に掲示されること、複数の学級で利用することで大部数の複製を行うこと、通信教育の教材に利用すること、複製して製本するなどして市販の形態に類似すること、授業のたびに同一の新聞や雑誌などから継続的に複製することなどは、著作権者の利益を不当に害すると考えられる。
これらの注意点をすべて満たすことができる場合は、著作者の許諾を得ることなく複製することができるのです。
教科書や問題集をコピーして使用する場合には、よく注意してからコピーするようにしましょう。
まとめ:教師は著作権を正しく理解しよう!
いかがでしたでしょうか。
今回の記事をまとめると、次のようになります。
教師が授業をするためには、教科書や問題集のコピー、DVDの上演などは避けて通れません。
だからこそ、教師はしっかり著作権について勉強して正しく理解し、法を犯すことのないように注意していきましょう。
下の記事では、著作権法第35条の例外規定の実例集をクイズ形式で解説しています。
ぜひ、この記事と併せてご覧ください👇
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
今回の記事で、1人でも多くの方に著作権について関心を持ってもらえると嬉しいです。
質問やご意見、ご感想などがあればコメント欄にお願いします👇
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