こんにちは。福田泰裕です。
平成30年(2019年)に学習指導要領が改訂され、新しくなりました。
高等学校では令和3年度(2021年度)の入学生から施行されます。
それに伴って、文部科学省から「学習評価の在り方ハンドブック」というものが発表されました。
https://www.nier.go.jp/kaihatsu/pdf/gakushuhyouka_R010613-02.pdf高校教師をしているならば一度は読んでおいて損はない…というより、一度は目を通しておくべきものです。
今回は、この「学習評価の在り方ハンドブック 高等学校編」をまとめて、分かりやすく解説していきます!
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
目次
そもそも、学習評価とは一体何でしょうか。
ハンドブックには、次のように書かれています。
学習評価は、学校における教育活動に関し、生徒の学習状況を評価するものです。
「生徒にどういった力が身に付いたか」という学習の成果を的確に捉え、教師が指導の改善を図るとともに、生徒自身が自らの学習を振り返って次の学習に向かうことができるようにするためにも、学習評価の在り方は重要であり、教育課程や学習・指導方法の改善と一貫性のある取組を進めることが求められます。
つまり、テストを行って生徒の理解度を見るだけではダメなのです。
生徒を評価することで、教師が指導の改善を図ることが大事なのです。
また、生徒自身が学習を振り返って次の学習に向かうことができるようにするために学習評価を行っているのです。
学習評価の考え方が理解できたら、具体的に評価の内容を見ていきましょう。
平成30年(2019年)の学習指導要領の改訂で、各教科の目標が資質・能力の三つの柱で再整理されました。
それに伴って、各教科における観点別学習状況の評価の観点は
の3つの観点に整理されました。
①知識・技能
各教科等における学習の過程を通した知識及び技能の習得状況について評価を行うとともに、それらを既有の知識及び技能と関連付けたり活用したりする中で、他の学習や生活の場面でも活用できる程度に概念等を理解したり、技能を習得したりしてるかを評価する。
②思考・判断・表現
各教科等の知識及び技能を活用して課題を解決する等のために必要な思考力、判断力、表現力等を身に付けているかどうか評価する。
③主体的に学習に取り組む態度
知識及び技能を獲得したり、思考力、判断力、表現力等を身に付けたりするために、自らの学習状況を把握し、学習の進め方について試行錯誤するなど自らの学習を調整しながら、学ぼうとしているかどうかという意思的な側面を評価 する。
この3つの観点で評価するためには、それぞれの到達の程度が分かるような授業を行う必要があるということです。
教科書を進めて、例題を解いて、解説して終わり!
もう、そんな授業は時代遅れということになります。
過去に授業で扱った内容と関連付けたり、課題を解決させたりしながら、自らの学習状況を把握させて学習の進め方を考えさせなければなりません。
まず気になるのが、評価の方法です。
こんなにたくさん観点がある…
授業ごとに評価しなくてはいけないの…?
このように考えてしまいます。
ハンドブックには、次のように書かれています。
学習評価については、日々の授業の中で生徒の学習状況を適宜把握して指導の改善に生かすことに重点を置くことが重要です。したがって観点別学習状況の評価の記録に用いる評価については、毎回の授業ではなく原則として単元や題材などの内容や時間のまとまりごとに、それぞれの実現状況を把握できる段階で行うなど、その場面を精選することが重要です。
つまり、評価するタイミングは「単元ごと」や「内容のまとまりごと」で良いのです。
授業の計画を立てる際に、どのタイミングで評価するのか考えておくと良いですね。
観点別学習状況による評価は、「A」「B」「C」の3段階です。
このうち最も高評価である「A」は、どの程度なのでしょうか。
ハンドブックには次のように書かれています。
各教科において「十分満足できる」状況(A)と判断するのは、評価規準に照らし、生徒が実現している学習の状況が質的な高まりや深まりを持っていると判断される場合です。
「十分満足できる」状況(A)と判断できる生徒の姿は多様に想定されるので、学年会や教科部会等で情報を共有することが重要です。
どうでしょうか。
「A」となるのは「質的な高まりや深まりを持っていると判断される場合」です。
ハッキリ言って、よく分かりません(汗)
簡単に言えば、「学校の実情に合わせて決めてください」ということだと思われます。
単独で判断するのではなく、学年会や教科部会等で話し合って決める必要があります。
これまでの高校での評価は、5段階の評定のみで行われてきました。
しかし、平成31年(2019年)4月9日に文部科学省から出された指導要録の改善等に関する通知の別紙3に、指導要録に記載する事項の説明が載っています。
その「[2]指導に関する記録」に、「1 各教科・科目等の学習の記録 (1)各教科・科目の観点別学習状況」が追加されました。
同じく文部科学省が発表している指導要録(参考様式)には、このように「観点別学習状況」を記入する欄が設けられています👇
つまり、観点別学習状況で評価して、その結果を総括した5段階の評定も表すということです。
観点別学習状況の評価をもとにして5段階の評定で評価するのですが、それとは別に「個人内評価」というものがあります。
ハンドブックには、「個人内評価」について次のように書かれています。
個人内評価の対象となるものについては、生徒が学習したことの意義や価値を実感できるよう、日々の教育活動等の中で生徒に伝えることが重要です。
特に「学びに向かう力、人間性等」のうち「感性や思いやり」など生徒一人一人のよい点や可能性、進歩の状況などを積極的に評価し生徒に伝えることが重要です。
つまり、「問題が解けたらOK、解けなかったらNG」という評価ではなく、「その生徒が課題を通してどのように進歩したか」を評価して、生徒に伝えてあげることが重要なのです。
テストだけで「80点も取れてすごいね!」「学年1位になってすごいね!」と評価するのは誰にでもできます。
個人内評価を行うためには、生徒をよく観察しなくてはいけません。
よく観察したうえで「計算が早くなったね!」「英単語をよく覚えてるね!」など、その生徒の成長の状況を伝えてあげられるような声掛けをする必要があるということです。
総合的な探求の時間にも、3つの観点を求められています。
この3つの観点に即して生徒の学習状況を評価していきます。
しかし、指導要録への記載は、これまでと同じ文章による評価となっています👇
評価の観点が変わりますが、最終的な評価はこれまでとそれほど変わらないでしょう。
特別活動の評価は、これまでは事実と所見による文章記述での評価でした。
しかし、新しい評価方法では文章記述を改め、ホームルーム活動、生徒会活動、学校行事の活動ごとに評価の観点に照らして、「十分満足できる状況にある」と判断される場合に〇印を記入する方法に変更されます。
これは新しい取組なので、評価体制の確立に時間がかかりそうです。
担任以外の教師も協力してその生徒の活動を評価していく必要があるように感じられます。
いかがでしたでしょうか。
この記事の要点をまとめると、次のようになります。
新しい学習指導要領が試行される前に、もう一度よく確認しておくことをオススメします。
今のうちに、どのような授業にするか、どのように評価していくのかを考えておくと良いかもしれませんね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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