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センター試験事件簿その4【2005年~2009年】

こんにちは。福田泰裕です。

受験生にとって、センター試験というのは大学入試最初の関門です。
ここをうまく乗り越えなければ、判定が悪くなって志望校を変更したり、中には足切りで2次試験を受験することができない大学もあります。
それほどセンター試験というのは、受験生にとって大切なものです。

しかし、その重要なセンター試験ですが、毎年のように事件が起きてニュースになっています。

そのセンター試験事件簿を、5年ごとにまとめてみました。

その3【2000年~2004年】はこちら👇

今回はその4【2005年~2009年】をお話しします。

この期間は、リスニングが始まり、出題ミスや不可解な問題が相次いだ5年間となっています。

ぜひ最後まで読んでください!

目次

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【2005年 第16回】天気図が変?問題の不備!試験問題が2ちゃんねるに流出?

2005年は、多くの批判が集まる問題が出題された年でした。

まずは「英語」の第5問。

話題となったのは、この③と⑤の選択肢。

①と②は北半球で、④と⑥は南半球であり得る天気図なのですが、③と⑤の天気図の前線の向きが『あり得ない』ということです。
これには気象予報士の森田正光さんも「あり得ない」と指摘しています。

さらに追い打ちをかけることに、この問題の正解は⑤なのです。

「英語の問題だから、実際の話とは関係ない」と言われればその通りですが、もう今の時代ではこういった問題は出ないでしょう。

次に、「国語Ⅰ」の第1問。
評論文は大岡信の『抽象絵画への招待』から出典された文章でした。
しかしこの文章は第一学習社の教科書「高等学校現代文2」に所収されていたり、過去に大学入試や模試などですでに使用された文章でした。

大学入試センターは「問題作成時点でのチェックミスだった」と発表する異例の記者会見を開いて謝罪しました。
しかし、得点調整や再試験などの措置は行われませんでした。

まだあります。
「国語Ⅰ・Ⅱ」の第3問の古文の問4です。

河合塾は、この問題を「正解をひとつにしぼるのは困難」と指摘し、質問文を送りました。
⑤の「不孝をわびたい」という心情を本文から読み取るのは困難であり、
②にある馬との対話とも読み取ることができる、というものでした。

このころのセンター試験の古文は、高校の学習範囲ではない江戸近代などの文章が多く、物語となると表面からは読み取れないような深い事項を聞いているため、「センター試験のレベルではない」と指摘されていました。

また、電子掲示板(2ちゃんねる)に英語と国語の出題内容を示唆する書き込みがありました。
文部科学省は大学入試センターに対して問題流出の有無を含めた調査を要請しましたが、結局書き込みは流出ではなく「偶然」として処理されました。

【2006年 第17回】リスニングが開始!相次ぐ不具合!Owenの奇妙な一言!

2006年の試験から、英語受験者全員にリスニングの受験が必要となりました。
「高校生は読み書きだけでなく、実用的な英語を身に着けてほしい」という大学側の要望に応えるため、導入されました。

当初は各会場のスピーカーで音声を流す案が検討されましたが、設備の問題や条件を均等にするという配慮から、ICプレーヤーによる「個別音源方式」となりました。
ICプレーヤーによるリスニング試験は世界初であったため、前例のないことでした。

大学入試センターはICプレーヤーについて、「電池は新品を入れているため、途中で動かなくなることはない」「腰の高さから落としても動作を確認しており、故障はない」と自信満々な姿勢を示していました。
しかし、英語の受験者数は約50万人。
教育関係者は、50万台のICプレーヤーが1台も故障せず、1人も操作ミスをしないということがあるのだろうか、と疑問に思っていました。

2004年9月26日には、リスニング試験の『試行テスト』が実施され、当時の高校2年生で希望者から約4万人を抽出しておこなわれました。
この試行テストでは大きなトラブルは発生せず、「個別音源方式で試験実施は可能である」と大学入試センターは判断しました。

しかし、試験本番では不具合が相次ぎました。

東京などの20都府県の試験会場でICプレーヤーが故障し、受験者49万2596人のうち、448人が再試験を受けることになりました。

リスニング試験が実施された1月21日の夜、大学入試センターは記者会見を開き、謝罪しました。
「トラブルを申告したすべての受験生に対して、再テストを受験させると決めていた」「性善説に立っている」と発言しました。

もしかしたら、聞き取れなかったから手を挙げて、もう一度聞こうとした受験生がいたかもしれません。
再試験は中断した問題以降しか解答できないとされていますが、個別音源方式なので1問くらいであれば聞き直すことも可能です。
この判断は難しいですが、あくまで「性善説」に立つということでした。

英語(筆記)の第5問の会話文でも、奇妙な問題が出題されました。

ショッピングが終わった大学生のOwenとYuki、Jayの会話です。
ここでOwenが奇妙なことを言い出します。

Owen:今日は自分の車じゃないんだ。エンジンが壊れてしまって、妹から借りたんだ。
Yuki:妹はどんな車をもっているの?
Owen: うーん…
Jay: 思い出せないの?
Owen: そう、白い車だ!タイヤが4つ付いていたよ!
Jay: 冗談はよせ。駐車場に停めてあるほとんどの車がタイヤ4つじゃないか。

「どんな車?」と聞かれて「タイヤが4つ!」と答える人がいるでしょうか。
こんな変な会話文ばかりのセンター試験です。

【2007年 第18回】リスニングにハァハァおじさん登場!Pat様を封じる!

この年は英語(筆記)の出題形式が変わり、長文が増えました。
それに多くの受験生は驚きましたが、それ以上の事件が起こりました。

事件が起こったのはリスニング試験。
今年は、通称『ハァハァおじさん』が登場しました。

その名の通り、言い終わると息が切れたかのように、

「OK. That’s right. んん…ハァ……」

と、吐息を漏らすのです。
受験生は笑いをこらえながらのリスニング試験になりました。

そして終盤の問22で、あのセンター試験の魔物Pat様が登場しました。
微熱が出たので病院で薬を処方してもらうという話でしたが、受験生はみんなハァハァおじさんに夢中だったためほとんど気にも留めませんでした。

また、「世界史B」の問32では、「フランスは、普仏戦争(プロイセン=フランス戦争)の敗戦、第三共和政が成立した」という文を読み取る問題がありました。
しかし東京書籍『新選世界史B』(採択率8.2%)、三省堂『世界史B』(採択率8.2%)では第三共和政の開始を普仏戦争の1870年として扱っていました。
そのため河合塾は質問状を大学入試センターに送りました。

それに対して大学入試センターは、「様々な説があるが、一般的には普仏戦争後に成立したと考えられるとして、明らかな出題ミスではない」と回答しました。

その教科書で学習した受験生にとって大きな不利益となってしまうため質問状を送りましたが、措置は取られませんでした。

【2008年 第19回】問題が盗まれる!そして出題ミス!

センター試験まで残り1か月となった、12月14日。

センター試験の問題作成を担当している委員の所有していたパソコンとUSBメモリが盗難に遭うという事件が起こりました。

試験まで残り1か月と迫っていましたが、問題を作り替え1教科分の冊子を丸ごと刷り直しました。

試験問題に関する資料はセンター外へ持ち出さないように周知徹底されていましたが、盗まれた委員は「自宅でよりよい問題をつくりたかった」と話しました。

また、「世界史A」の第2問の問9で、出題ミスがありました。
「アメリカ合衆国のスリーマイル島で、原子力発電所の事故が起こった」という選択肢が正解の問題に、「日本とアメリカ合衆国は、1963年に部分的核実験停止(禁止)条約」も調印した」という不正解の選択肢がありました。
しかし、河合塾は「1964年に批准しており、調印は1963年に行われている」として正解が2つあると指摘しました。

これに対し大学入試センターは両方の選択肢を正解としました。

【2009年 第20回】Pat様の本名が発覚?

この年の問題は平穏でした。

英語の第3問Bの図表完成問題の表の中に「Patricia」という名があっため、「Pat様の本当の名前はPatriciaなのか?」という、どうでも良い推測が起こりました。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回はセンター試験事件簿その4【2005年~2009年】のお話でした。

その5【2010年~2014年】はこちら👇

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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福田 泰裕

33歳、2児の父。 山口県の高校教師で、担当は数学と情報。 毎日定時ダッシュするために、働き方改革を実施中。 数学教育・情報教育・教師の働き方・教師のEXCEL講座などを記事にしています!